■ 会社概要
設立 1958年
従業員数 約4,900名
本社 愛知県名古屋市東区東片端町8番地
事業内容 医療用医薬品流通に特化したロジスティクスサービスの提供(メーカー物流3PL・医薬品配送・納品業務の受託、倉庫内業務の受託、物流センター業務の受託、SPD〔病院内物流〕業務の受託、治験薬配送業務の受託)
すべての社員に一定ラインの知識を修得してもらうために
-変革期にある物流業界の今後を見据えて-
医薬品メーカーから医療機関、薬局、地域医療などヘルスケア領域に関するすべてのロジスティクスニーズに対し、安心・安全、高品質かつ効率的なサービスの提供をミッションとしている株式会社エス・ディ・ロジ。医療分野だけでなく、物流業界も今、劇的な変革期を迎えている。そうした中、今後の事業展開を見据えて、同社では令和2年度からビジネス・キャリア検定(以下、ビジキャリ)ロジスティクスのBASIC級を物流現場の一般社員全員が取得するよう制度化した。同社管理本部人事部長、安齋直子氏にビジキャリ導入のきっかけや経緯などお話を伺った。
安齋 当社は医薬品の製造から流通、保険薬局、介護まで幅広く事業を展開するスズケングループの物流部門を担っている会社です。そのため、これまでスズケングループの物流子会社という立場で事業を展開してきましたが、いつまでもそこだけに特化しているわけにもいきません。また、物流業界も大きな変革期に入っており、今後の共同物流、共同配送について業界内でも議論が進んでいます。その中で他社ともきちんと議論できる共通言語を社員一人ひとりが身につけておく必要があると考えていました。
その手立てを模索していた時、あるパートナー企業が教育体系の一つとしてビジキャリを組み込んでおられました。詳しく話をお聞きして当社も導入するといいかもしれないと思ったのが始まりです。
実際、導入するにあたって決め手になったことは何だったのでしょうか。
安齋 導入を検討し始めた2018年当時、まずはともあれビジキャリがどういう資格試験なのかを知っておく必要があると考え、物流責任者だった常務、管理部門の部長、物流現場の責任者たちに受験してもらいました。その管理職の社員たちが「これは受けた方がいい、この資格の知識は当社の社員に必要だ」と報告してくれたので導入に踏み切った次第です。
物流現場の一般社員全員がロジスティクスBASIC級を受験
2020年に約1,460名、21年に約1,230名がロジスティクスBASIC級を受けています。御社の社員数が約4,900名なので半数以上の人がこの2年で受験し合格されていることになります。全社員に受験してもらうことは、最初から想定されていたことなのでしょうか。
安齋 はい、そうです。当社はダイバーシティ経営を推進するために個々の社員が自分の能力を最大限に発揮できるよう、A~Hまでの役職グレード(Aが新人、Hに近づくにつれて上級職位)を設け、グレードに沿った能力開発研修制度を設けています。
この中で最も社員数が多いゾーンがBグレードになります。実は、これまでなかなか勉強の機会を設けることのできなかった一般社員のゾーンで、オペレータ職が中心です。まずはこのBグレード層とそれ以上の社員に「ビジキャリを受けてください」と社内インフラで通知しました。
中途採用者に関しては、当初、契約社員として採用していたので、その人たちを正社員登用する際の条件として、ビジキャリを受けてもらっていました。また、既存の正社員も同じ土俵に乗ってもらう必要があるため、ビジキャリを受けていただくよう、任意というよりは、やや強めに推奨しました。そういう事情もあって2020年、21年の受験者数、合格者数が多くなりました。
なぜ、ロジスティクスBASIC級を推奨されたのでしょうか。
安齋 純粋に難易度の問題です。メインで受験してもらう社員は、オペレータとして荷物の入出荷や商品管理業務に携わっているものがほとんどです。先ほどもお話したように実際にビジキャリの3級、2級を受験した管理職の感触として、オペレータ職の社員に3級でもややハードルが高いのではないかという意見があったので、まずはロジスティクスBASIC級の受験から推奨しました。2022年、23年を経て現在、約4,000名弱の社員がロジスティクスBASIC級を取得してくれています。
もちろん、会社から受験をお願いしているわけですから、受験料は会社負担にしています。テキストと過去問題集は、最初にある程度まとめて会社で購入し、現場の責任者に配付しました。その後はすべて現場に任せています。
安齋様は、ビジキャリのどんなところに魅力を感じていますか?
安齋 当社は未経験の中途採用者が多く、入社時は例えば、「折りたたみコンテナ」を略して「オリコン」と呼ぶといったこともよくわからず、戸惑うことも多かったようです。要は業務上、覚えておくべき専門用語に対する認識が育っていなかったのが以前の当社でした。それが、ビジキャリを導入したことで物流現場の一般社員全員がしっかり基礎を勉強できましたし、"共通言語"を共有できるようになりました。
社員自身も、ビジキャリ取得の勉強を通して、それぞれに専門用語などを整理して理解することができて、かなり仕事がやりやすくなったはずです。実際、社内異動があってそれまでと仕事内容が変わる部署に配属となったある社員が「ビジキャリで勉強して頭に知識があったから、新しい仕事への理解もスムーズにできました」と話してくれたこともありました。
今後はビジキャリをどのように活用されていきたいとお考えでしょうか。
安齋 BASIC級の上位級である、ロジスティクス3級、2級を受けたいという社員がいれば、ぜひ受けてもらいたいと思いますが、現状でオペレータ職の社員に3級、2級の知識が必要だという意見はまだ出てきていません。
ただ、現在、親会社であるスズケングループの経営方針が変わろうとしており、グループとして海外の製薬メーカー、デベロッパーから選ばれるためにはどういう準備をしなければならないのかを検討する際、グループ全体の組織としての在り方だけでなく、物流の在り方についてもまた議論が始まっています。
こうしたグループの動きを受けて、子会社である私たちエス・ディ・ロジとしての経営方針も当然変わってきます。とりわけ冒頭お伝えしたように業界全体が大きく変わろうとしている今、人材育成の見直しを図る必要性を強く感じています。その一環として研修体系の中にビジキャリの3級、2級の取得も組み込んでいくことを検討したいと考えているところです。
物流業界では、これまで2024年問題が取り沙汰されてきて、まさにその年になりました。働き方改革関連法の一環で2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が施行され、国土交通省は物流の効率化を提言しています。そうした中、親会社のスズケングループも御社もまさに体制を変えざるをえない過渡期にあるというわけですね。
安齋 そのとおりです。今後の物流の展開として共同物流、共同配送の可能性を考えると、パートナー企業となる同業他社とのやりとりも増えるだろうと思っています。ビジキャリで業界内の"共通言語"である用語など基礎の部分を、社員一人ひとりが身につけておくことが非常に役立つと思っていますので、将来に備えて、社員のスキルアップということだけでなく、新しい取引先になるパートナー企業とのやりとりをスムーズにするための準備として、ビジキャリは非常に有効だと認識しています。したがって、今後も中途採用で入社された方には、ロジスティクスBASIC級を受験してもらうつもりです。上位級を目指す社員に対しても支援していきたいと思っています。
■ ビジネス・キャリア合格者に聞きました
導入検討の際、ビジキャリを受けて合格した社員2名にお話をうかがいました。まずは現在、コンプライアンス部所属の中村一彦さんです。
<ビジキャリ総務3級を受けてみて>

別の会社で営業職として働いていたのですが、12年前にエス・ディ・ロジへ中途採用で入社しました。最初は物流部門の管理業務を担当し、そこから総務部門へ異動になってしばらく経った頃に上司から誘いがあり、ビジキャリ総務3級を受けました。
総務という業務を遂行する中で足りない部分があるなと感じていたのでそこを補足したかったのと、世間一般の総務職は、そもそもどのような知識が必要なのかを知りたかった、というのもありました。
試験勉強は帰宅後の1、2時間。最初にテキストを読み込んで、試験直前に過去問をやって苦手なところを洗い出し、そこを再び覚えるといった感じでした。
勉強したおかげで、それまで"点"で見ていたものが"線"でつながり、上司から指示を受けた際、全体の大枠の中でどういう部分の、どのことについて指示を受けたのかがわかるようになりました。それによって仕事の"見方"、"受け止め方"が変わったというか、意味づけを理解しながら遂行できるようになりました。
現在は、総務部門から異動し、コンプライアンス部門で働いています。まったく違う領域の業務ですが、それでも時々、「これってビジキャリで勉強したよな」ということが出てきます。そんなこともあってテキストは今も机の本棚にあり、活用し続けています。
次は現在、コンプライアンス部の中村豊さんです。ビジキャリロジスティクス管理3級を受けた当時は、現場で物流の運営に携わっていたとのことです。ちょうど、社員の方々がロジスティクスBASIC級を受けて合格者が急激に増えた時も現場にいらっしゃったということで、そのお話もうかがいました。
<ロジスティクス3級は、拠点担当者が取得しておく社員指導に役立つ>

安齋が話したように、導入段階に試しに受けた管理職の一人です。当時、私は入社して現場で物流の運営に携わって12年目の頃でした。仕事に直結する資格がいいと考え、ロジスティクス3級を受験しました。最初に会社からテキストを受け取り、ぱらぱらっとめくったら、我々の実務に即した内容が現場から見てもしっくりくる表現で記載されていたので、「これは役立つ!」と思って試験を受けました。テキストを読んで理解度をチェックするために過去問をやるということを繰り返しました。
勉強してみて、実際に使っている倉庫管理システム(WMS)のことや、今後、会社を挙げて進めていくことになる共同配送などについての理解が深まったのと、学ぶことの面白さ、楽しさを改めて感じることができてよかったです。また、社員の指導教育にも役立っているので、現場の責任者であれば、3級は取得しておくといいかなと思いました。
<社員の多くがBASIC級を取得したことで、専門用語を正しく理解し合って会話できるようになった>
ロジスティクスBASIC級を目指し、社員が取得するようになって感じたのは、そもそもの根本的な物流のしくみを理解できる人が増えたな、ということです。物流業界独自の基礎的な用語を理解している社員が増えたことで、私たちも仕事が大変しやすくなりました。何より取得した社員自身がそう実感しているはずです。
ふだん当たり前に作業していると思うのですが、間違いなくビジキャリで得た知識は、そういう繰り返しの日々の中で気づきをくれるきっかけになっていると思います。また、私どもが扱っているのは医薬品ということもあり、常に手引き書に基づいて間違えずに作業しなければならないというのが大前提としてあるので、リスクヘッジとするという意味においても、やはりロジスティクスBASIC級程度の知識があることはとても重要だと認識しています。
※掲載内容は取材当時(令和5年)のものです。