■ 会社概要
創業 1899年
設立 1941年
従業員数 1,873名(連結・2022年1月現在)
本社 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス
事業内容 貨物利用運送事業、作業請負業、倉庫業、酒類販売媒介業、通関業
まずは物流に必要な一般的な基礎知識を
-現場の実務の固有性にとどまらない学習として-
キリングループロジスティクス株式会社は、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンなどキリングループ各社の物流業務を一手に担う。キリン製品をベースカーゴとした全国30箇所の拠点を活かした輸配送網で、高い品質の物流サービスを提供している。
同社では2017年よりビジネス・キャリア検定のロジスティクス分野を活用している。物流管理部の中野秀樹氏にお話を伺った。
人材育成の一環として定着
ビジネス・キャリア検定を導入したのはどのようなきっかけでしたでしょうか。
中野 当初の詳しいことはわからないんですが、資格試験や研修ということだけに目的を限らず広く人材育成、能力開発の一環として導入しようということで、2017年頃にスタートした記録が残っています。毎年社内で受験者の募集をかけていて、年間70~100名ほど受けています。会社としてはもう定着している感じですね。
特に制度化しているわけではなく推奨の形ですが、社員は各自積極的に試験を受けていると思います。年初に行うリーダーとの面談で個人の目標などの話をするんですが、その中で例えば「今年はビジネス・キャリアを受験してみたらどう?」といったやりとりも出てきますね。 文書でも発信していますので周知はされて、認知度は高いです。
受験者への援助などもされていますか。
中野 毎年の前期試験の受験料とテキスト代は会社が援助しています。後期試験は自費でということになっています。
自社に固有の部分とは別に、一般的な基礎を学ぶ
社員の方はビジキャリをどのように受けとめられていますでしょうか。
中野 多いのは、物流の業務について知るのに役に立つという意見です。誰でも簡単に受かる試験ではないという認識はあって、みんなそれなりに苦労して勉強の時間を作って準備した上で受験しています。
入社1年目で受ける新入社員は、気を引き締めなければならないと感じるようです。「きちんと時間を取って頑張って取り組むように」と言われる、と。入社した時は大抵の人は知識もないし業務に精通しているわけでもないので、そういった場合に、まずは基礎知識を身に付けるためにビジキャリが役立つということです。
ビジキャリを活用することによる効果やメリットはどのような点だとお考えですか。
中野 社員から直接そうした声を聞くことはあまりできていないんですが、知識として得られるものはたくさんあるだろうと思います。ただ、そのことと普段自分が実務でやっていることがすべて結びつくわけではないので、「このように役立っている」とあまり言葉にしにくいのかもしれません。
われわれの飲料・ビール物流というのは非常に特殊な面もあって、パレットや物流機器、作業や業務の流れも一般的な物流現場とはかなり違います。物を動かす時の単位として、小口配送はあまりなくて大型トラック1台、基本は工場でパレタイジングされたものが荷積みされてそのまま動いているというイメージで、ピッキングが少ない。そこに手間をかけなくて済むようになっています。総量で言えばかさばって場所も取りますし、重量もある物を運び、保管するわけですが、ロットそのものが大きく、少量物はほとんどないというところが特徴だと思います。
しかしながら、必ずしも当社特有の実務に即した試験というわけではなくても、ビジキャリの場合は物流の基礎的な知識を得るために必要な一般的内容として勉強し受験する、ということでもよいのではないでしょうか。やはり実務にはそれぞれの企業の固有性がありますし、あまり知らない状態だったところから、ビジキャリを受験してから基礎知識がしっかり身に付けられたという感想は聞きますので。
より効果的な教育体系を目指して
今後についてはどのようにお考えでしょうか。
中野 人材育成、社員のキャリア形成の観点では、資格試験などをどう活用していくのかということを体系的に考えなくてはいけないと思っています。やはりある程度の人数の新入社員を採用していますので、物流の基礎知識を学ぶ教育体系にビジキャリなどを組み込んで育成をしていく必要がありますし、今後ますます人材育成、キャリア開発の重要性は高まっていくでしょう。現在もそうした意識は持っていますし、ビジキャリの活用もしているわけですが、体系立てて制度化するところまでは行っていないので、より実効性のある仕組みを目指して今後検討していきたいと思っています。
※掲載内容は取材当時(令和4年)のものです。