■ 会社概要
設立 1981年
従業員数 約800名(グループ合計)
本社 山口県宇部市大字善和字上瀬戸原189番地7
事業内容 輸送業、倉庫業、生産管理業、製造請負業等
基本的な知識を身に付けて現場で活躍できる人材に
-専門用語を知って伝えられることがある-
キチナングループ株式会社(令和3年取材当時:吉南株式会社)は、北九州、山口、広島、岡山、大阪、名古屋、埼玉に拠点を持ち、ただ荷物を運ぶだけではなく、倉庫保管、流通加工、製造請負等幅広い事業を展開し、物流の全過程をカバーする総合物流サービスを提供している。「一人ひとりが成長する機会を提供する」ことに力を入れ、人材育成を重視して様々な研修、能力開発支援を実施しているという井本健代表取締役社長にうかがった。
とてもわかりやすい現場向きのテキスト
どのような経緯でビジキャリを導入されたのでしょうか。
井本
私は別の業界から移ってきたんですが、まず物流を勉強するためにいろいろと本を探して買ってみたんです。その中で具体的な実務に即していて非常によいと思ったのがビジキャリのテキストでした。
新卒採用者も大学で物流を勉強した人というのは少なくて、経済学部とか商学部などの学生も多いので、彼らが入社後なるべく早く活躍できるようになるのにすぐ役に立つテキストとしてよいということで導入しました。2018年ぐらいですね。
自主性を重んじたいので強制はしてないですが、内定者には毎年積極的に案内をしています。入社して活躍したいという思いを持った内定者の学生からは「どんな勉強をしたらいいですか」とか「今どんな本を読んだらいいですか」と結構聞かれるんですよ。そうした時に勧めてますね。
若手に広く浅く現場の知識を付けさせるために、今世の中にある本の中では一番わかりやすくて現場向きなのではないでしょうか。こうした土台の上に会社ごとに個別の特徴や強みがありますから、これだけで全部カバーできるわけではないですが、若手にとってはすごくいいテキストだと思います。
当社は主に物流事業を行っているので、ロジスティクス・オペレーション3級を中心に受けています。あとは生産管理ですね。生産管理のオペレーション業務を担うこともあり、客観的に生産管理のオペレーションとは何なのかを理解できますので。
ビジキャリで学ぶことで専門用語を共通言語にする
活用の目的としては、そうした勉強に有効であるということでしょうか。
井本
そうですね。新卒者に基本的な知識を学んでもらい、共通言語を身に付けてもらうということです。それと今後は、中間層に2級に積極的にチャレンジさせたいと思っています。現場から管理職になる人が「この分野はよくわかっているんだけど、この分野はあまりよく知らない」といったことがあるんですよ。管理職レベルになるために総合的に学べるものは意外と少ない。将来的には昇格の資格要件に入れたりすることなども見据えていきたいですね。
現在、合格者への手当などの制度はありませんが、テキスト代と受験料は会社で費用負担しています。
ビジキャリの効果を感じられるところはありますか。
井本 ビジキャリの勉強をした人は専門用語を知っています。そのことによって離職率が下がったのではないかと感じています。用語がわからないと伝わらないことって結構あるんですよね。先輩社員が説明するのに何度も同じことを言う必要がない。話す言語が整うということですね。
基本的な知識を身に付け現場で求められることに応える
今後ビジキャリについてこうしていきたいということはありますか。
井本
総務や人事・人材開発などの分野もやりたいですし、何らかの形で制度の中に組み込めればと思っています。
現場でどんなことが求められているか、お客様が今どういうことに関心があるかといったことも含めて勉強できればいいですね。結局は知識をいかに現場で活用するかだと私は思っています。ただ、やはり基本的な知識がないと現場に行ってもわからない。うちの社員にはぜひそうしたところを積極的に身に付けてほしいですね。そして自分のキャリアにつなげていってもらいたいと思います。
今後の人材育成に向けて
今課題として感じていらっしゃることは何でしょうか。
井本
若手の早期育成については非常に課題に感じています。物流というのは、どうしても現場の人の勘とか感覚によってコントロールされているところがまだまだあると思います。より短期的・効率的に人材を育成していく仕組みが必要です。ビジキャリはその一環でもあるわけですが、加えてテクノロジー、IT化とセットで暗黙知を活用する体制を作っていければと思っています。
大卒採用の時は、価値観を非常に重視し、最低5回は面接しています。当社のいろいろな層の社員と会っていろいろな価値観に触れてもらい、それで「いいな」と思ってくれる人を採用しています。われわれにとってだけではなくて、学生にも「いいな」と思ってもらえること。そして実際に現場を見てもらって、物流の仕事を体感してもらう。そうしたことを大事にしてますね。
■ ビジネス・キャリア合格者(倉庫事業部 課長 様)に聞きました
<広く学ぶと、今まで見えていなかったことが見えてくる>
令和元年にロジスティクス管理、令和2年にロジスティクス・オペレーションの2級を取りました。受けようと思った動機としては、業界団体の物流現場改善士という資格試験を受けて、自分が思っていた物流と世間一般での物流との間にかなりギャップがあると感じたんです。また、新卒の採用チームにいてちょうど新入社員がビジキャリの3級を受けるという時に、自分も資格を取らないと新卒採用の一員としては指導できないのではないかという気持ちもありました。
ロジスティクス管理は1回で受かったんですが、ロジスティクス・オペレーションは2回落ちて3回目で受かりました。なかなか勉強の時間が取れず、休みの日に集中してやりましたが、勉強することで自分自身の市場価値的なものもそこに付いてくるだろうと思い、何とか合格までモチベーションを保てましたね。
われわれは物流事業者なので、事業者の立ち位置から物流を見ていたというところがあった。勉強すると、事業者から見えない荷主企業様側の問題点の部分にも気づきました。知らなかった言葉も多くて、現場でのお客様との商談でそれが生きた時はすごく「受けてよかった」と感じます。
当社は運輸、倉庫、生産など複数の事業を行っており、今後、相互関連する生産管理の分野も身に付けていきたいです。お客様にロジスティクスをトータル的にサポートできる企業としての能力向上と後進の育成に努めていきたいです。
※掲載内容は取材当時(令和3年)のものです。