■ 会社概要
設立 1971年
従業員数 500名
本社 東京都東久留米市柳窪1-10-37
事業内容 運輸業(幹線輸送・地場配送(四温度帯)、物流センター運営、仕分け・保管業務、流通加工業務)
広く物流一般の知識を学び、お客様の視点に立つ
-ビジキャリで社員の学びの姿勢が顕在化-
NTSグループでは、輸送・配送、物流センターでの仕分け・保管業務、流通加工業務など、物流サービスをトータルで提供している。首都圏に8ヵ所ある拠点ネットワークを活かした配送効率と物流過程における温度管理のノウハウによる定温輸送に強みを持つ。ロジスティクス分野でビジネス・キャリア検定を活用しているという同社の業務推進室の西平義信マネージャーにお話をうかがった。
お客様の視点に立ってお客様の物流の最適化を目指す
ビジキャリを導入された経緯を教えていただけますか。
西平 ビジネス・キャリアについては、確か2013年に私がホームページを見て知りました。何日も研修を受けるような資格はありますが、ロジスティクスの分野でこうした一般的な検定試験というのはなかなかなかったかなと思い、当時の部下に一度受けてもらいました。
われわれが直接携わっているのは、トラックでの店舗等への配送、物流センター内での仕分け作業や保管作業等で、それら現場の仕事に関しては深く専門的に身に付け理解しているわけですが、お客様はもう少し広いところを見ています。私たちの目的はお客様の物流の最適化ですので、自分たちの最適ばかりを追いかけてしまってはいけない。お客様がどういう視点で見るかというところに立てないと、お客様と話が通じなくなる。1つ上の視野を持つためには、広く物流一般の知識を得ることが必要だと思っていました。
また、ビジキャリの認定講座の教育機関で聞いたところによると、荷主企業の物流担当者の方が多く受験されているようでしたので、当社でもこれは勉強しておかないと話にならないだろうということで、社内で推奨していくことになりました。
社内の制度としてはどのように位置づけられていますか。
西平 一定の等級に昇格するためにはロジスティクス・オペレーション3級の受験が必須ということになっています。テキスト代と2回までの受験料は会社負担です。該当者が対象となる社内研修の中でビジキャリの話をして周知を図っています。
社員の受けとめ
社員の方はビジキャリをどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
西平 合格者にアンケートを取ってみたんですけれども、やはり管理職のマネージャーレベルだとお客様とやりとりする中で普段から勉強していないといけませんから基本は身に付いているので、試験はそれほど難しくなかったと答えていますね。一般の2~4等級のメンバーは現場しか知らない傾向があって、自分の業務以外のことはあまりよくわからないため難しく感じるようです。
「どのように役に立ったか」という問いには、「知識向上によってお客様とのやりとりがスムーズになった」、「知っておくべき物流の専門用語を理解できた」とか「基本知識が理解でき、業界の共通の会話ができるようになった」という声が多いですね。学ぶ機会を持てたことに対して肯定的に受けとめていると思います。
業界内の言葉って、同じ物流でも食品やアパレルなど何を扱っているかによって、同じ物でも言い方が現場で違うんですよ。ビジキャリの標準テキストには共通の基本的な用語が載っているので、お客様から言われた言葉で「それ何だろう?」という時にいろいろ調べるわけですけど、テキストもその1つになっていますね。ビジキャリで使われている言葉が標準として根付いていると思います。
その他では次のような意見がありました。
- 部門外の知識の幅が増えた。
- 実務で培った知識を再確認することができた。
- 用語の正式名称を知ることでお客様との認識のずれが少なくなった。
- 現場で何となく把握してきたこと、経験則で知っていたことをあらためて知ることができた。
- お客様とのミーティング・打合せ時に、物流会社の人間として物流一般の知識は備わっているぞという自信を持つことができた。
- 他社の物流センターに行く時に、運営や場内配置、作業状況などを知識を踏まえて観察する機会が増えた。
- 積極的な呼びかけをし、ビジキャリを広めていければいいと思う。
- 物流業の一般知識を学ぶことは基礎力アップと人財育成の一環として有用。
- 現場で働いているだけでは知ることができない知識を得られ、勉強する過程で問題解決能力が高まるので、会社の自力の底上げにもなると思う。
ビジキャリ導入の効果などを感じられることはありますでしょうか。
西平 社員の学習意欲とか知識を身につけようという姿勢が顕在化したということは感じますね。それまではあまりわからなかったんですけど、いろいろなことを学びたいというメンバーは本当にがむしゃらに学びますし、それが見えてきた。現場ではコミュニケーションが苦手で目立たない人が、勉強はすごく頑張っていて2級を取っていたりするのを見ることもできました。
物流の今後に向けて
今後社員の方に期待されること、望まれることなどありますでしょうか。
西平 物流というのは今までの業界の経験の積み重ねの部分が大きくて、なかなか中から変えていくということができなかったんです。それが今DX化の波で今までと違うプレイヤーがプラットフォーマーとして物流業界に参入し、まったく違うアプローチでイノベーションが起こりつつあります。例えば、お客さんのところへ行ったけれど何時間も順番待ちしなければならない荷待ち問題にしても、それを解決するための予約システムなどもどんどん取り入れられたりしてきているわけですね。基礎知識は前提としてもちろん必要なんですが、ロボット化・自動化も本格化するなど変化は激しいですから、ビジキャリを活用しながらできるだけタイムリーに現状と今後というところを体系的に学べればよいなと感じています。
※掲載内容は取材当時(令和4年)のものです。