■ 会社概要
創業 1963年11月
従業員数 854名(グループ会社含む)
本社 岐阜県関市広見851番地の3
HP https://www.onda.co.jp/
事業内容 給水・給湯・石油・ガスなど暮らしに欠かせないエネルギーを使うために必要不可欠である配管資材の総合メーカー。製品開発から製造、材料リサイクル、販売、品質保証まで自社で一貫して行っている。
オンダ製作所の創業は1963年。バルブや水栓金具の加工から始まり、黄銅棒からオイルストレーナー、樹脂管、樹脂管用継手など自社ブランド品を製造。現在では給水・給湯配管の継手分野では、「継手と言えば、オンダ」と称されるほど業界トップクラスのシェアを誇る配管資材のメーカーだ。
こうした成長の裏側で同社が一貫して掲げてきたのが「企業は人なり」の理念。現場では技能検定を活用し、製造技能の高度化を実現。それに加えて2007年からはビジネス・キャリア検定試験を導入し、間接部門の力量の"見える化"を推進し、全社的な学びの仕組みを構築してきた。その背景と狙いを取締役管理部長、寺町伸朗氏に話をうかがった。
間接部門の強化戦略として2007年よりビジネス・キャリア検定導入
ビジネス・キャリア検定(以下、ビジキャリ)導入の背景を教えてください。
寺町
当社は創業以来、水道用品の加工を手がけてきました。当初はメーカーの部品製造が中心でしたが、1973年のオイルショックを機に、自社ブランドの商品化に着手。そこからは製造技能の向上を目指し、文字通りがむしゃらにものづくりに打ち込んできました。
やがて自社ブランド品も増え、業容も売上規模も拡大。それに伴い、間接業務も急増していきました。現場では技能検定を活用し、技能向上に力を入れていましたが、間接部門については能力を体系的に高める仕組みが十分とは言えませんでした。そこで着目したのが「ホワイトカラーの技能検定」と呼ばれていた「ビジネス・キャリア検定(以下、ビジキャリ)」です。導入は2007年からです。
かなり早い段階から、しかも、8分野を幅広く受験されていますね。
寺町
もともと技能検定を通じて関係機関との連携があり、ビジキャリ開始の情報も早期に把握していました。将来的に必ず必要になる検定試験だと判断し、導入を決めた次第です。製造部門には技能検定という明確な評価軸がありましたが、間接部門にはそれが乏しかった。その差を埋めたいという思いがありました。
ビジキャリは当社の間接業務に直結する分野ばかりです。基礎から高度な知識まで体系的に学べるので、受験そのものが社員の能力開発につながっています。部署異動に合わせて必要なスキルを身につける手段として活用する社員も少なくありません。
2012年から16年にかけて年間合格者が100名前後と大きく伸びています。
寺町
ちょうどその時期、社員数も売上も大きく伸びました。取得奨励活動も強化していたため、受験者が増え、それに比例して合格者も増えたのだと思います。
人事評価の個人目標の一つとしてビジキャリ合格を取り入れる
社内の教育体系や資格制度の中で、ビジキャリはどのように位置づけられていますか。
寺町
当社の社員教育は、新入社員研修から入社7年目までの節目研修、昇進時研修、労務管理研修、情報セキュリティ研修、ライフプランセミナーまで多岐にわたります。さらに、技術研修も含め、それぞれの成長段階に応じた学びの機会を整えています。
資格制度についても、各種技能検定をはじめ、QC検定(品質管理検定)、eco検定、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、メンタルヘルス・マネジメント検定、技術系国家資格、消防・安全衛生関連資格などを、当社における重要度、難易度に応じて体系的に分類しています。
人事評価制度の中に「資格取得へのチャレンジ」が組み込まれていることもあり、キャリアアップの目標としてビジキャリ合格を掲げる社員も少なくありません。
人事評価には、どのように組み込まれているのでしょうか。
寺町
評価項目に「資格取得へのチャレンジ」があることから、社員はビジキャリに限らず、自己評価の際に必ず目にするため、自然と意識が向く仕組みになっています。
また、当社はISO9001の認証を取得しています。その要求事項の一つに「社員の力量の確認」があり、部門ごとに必要なスキルを一覧化した「力量マトリックス」があります。ビジキャリもその中に明確に位置づけられ、該当資格として示しています。
単なる自己啓発ではなく、「会社として必要な能力」として可視化されているわけですね。では、社内での周知や活用方法についても教えてください
寺町
資格すべて周知方法は同じですが、ビジキャリは年2回、社内ポータルサイトで受験案内を行っています。製造現場では掲示板にポスターを掲示し、QRコードから申し込めるようにしています。すでに多数の社員が受験していることもあり、案内を出すと毎回多数の申し込みがあります。当社では、受験は特別な挑戦というより、自然な自己研鑽の一つとして根づいています。
合格者は社内掲示や社内報で随時公表しています。これが非常に効果的です。取得者が増えること自体が刺激となり、「次は自分も」と挑戦の輪が広がっていく。そんな前向きな空気が社内に醸成されています。
新卒だけでなく中途採用の会社説明会でも、資格取得を重視し奨励する企業であることを伝えています。こうした風土が継承されてきた結果、現在では社員一人あたり、運転免許を除いて平均7~8件の資格を保有しています。
ただ、資格取得はあくまで奨励であり、強制ではありません。会社が背中を押すことはあっても、最後に決めるのは本人です。自ら挑戦したいという意思を尊重し、その挑戦を支えるというのが当社の一貫したスタンスです。
素晴らしいですね。そんな中、ビジキャリの認知度や評判はいかがですか。
寺町
評判は非常に良いです。受験した社員は得た知識を実務でしっかり活かしています。先ほどもお話したように、業務に直結していることがビジキャリの大きな魅力です。
ちなみにビジキャリの合格者は年3回発行している社内報にも掲載しており、これまでに延べ350件以上の合格実績があります。上司や先輩が取得し、部下や後輩に奨励するーー。まさに挑戦が次の挑戦を生む。ビジキャリは当社の成長を下支えする"学びの文化"の一部になっているといっても過言ではありません。
資格=共通言語が現場の業務効率化を実現
ビジキャリは業務に直結しているとのことでしたが、資格取得のメリットを具体的に教えてください。
寺町
例えば、QC検定は正社員の約7割が取得しています。共通の基礎知識があることで現場での改善活動や不良対応がスムーズになりました。ビジキャリも同じです。同じ職場で働く者同士に"共通言語"があることは、大きな力になります。互いに前提となる知識があるからこそ、説明に時間を取られず、本質的な議論に集中できる。結果として、知識共有がさらに進み、業務効率の向上にもつながっています。
ありがとうございます。では最後に、今後、ビジキャリや社員に期待することをお聞かせください。
寺町
当社の経営理念の一つに「企業は人なりの信念をもとに人材育成に努め、社員の生活と福祉の向上をはかる」があります。私たちは社員の付加価値、お客様へのサービス、生産性、そして待遇は、すべて比例関係にあると考えています。社員一人ひとりの力が高まれば、企業価値も高まり、それが待遇向上へと還元されていきます。ビジキャリは、その付加価値を高める有効な手段の一つです。会社を強くし、自らの未来を豊かにすることを信じ、社員には引き続き、ビジキャリに挑戦し続けてほしいと思っています。
■ ビジネス・キャリア合格者に聞きました
<異動のたびに学びを重ねて、資格を業務の"礎"に>
2011年に入社し、営業、物流、社内ベンチャー部門、そして現在の組立課と、さまざまな部署を経験してきました。ビジキャリを目指すきっかけは上司からの勧めと、正直なことを言うと報奨金目当てでした(笑)。ただ、報奨金は最初だけ。途中からは完全に仕事のために取得を目指すようになりました。仕事に役立つと実感する場面が多かったからです。実際、営業から製造に異動することになったとき、製造のことが何もわからなかったのですが、「生産管理オペレーション」で作業工程管理を学び、標準時間や法令を根拠に業務を説明できるようになり、「なぜそうするのか」を自信持って語れるようになりました。
以後、異動を重ねるたびにそこの業務に必要な知識を自分で取りにいくようになり、気づけばビジキャリを15回受験し、9つもの資格を取得しました。数だけ見ると多いですが、必要に迫られて積み上げてきた結果でしかありません。上司に「受かるための勉強と、業務に生かす努力は別物だ」と言われたことがあります。その言葉が常に私の心にあります。資格はゴールではなくスタートであり、私によっては業務の"礎"なんです。また、得た知識を自分の中に留めるのではなく、周囲に還元し、誰でも再現できる仕組みにしていきたいと考えています。
そして今は「企業法務」に挑戦したいと思っているところです。
<ビジキャリで"分からない"をなくすことで仕事の質を上げる>
2011年に入社し、最初は営業部で内勤事務を担当しました。その後、産休育休をはさみながら、2016年頃に管理部総務課へ異動し、現在は人事企画係で人事異動の取りまとめや採用、資格取得の運営などを担当しています。
ビジキャリを受け始めたのは2013年。入社前から資格取得を奨励する会社だと知っていましたし、配属後の人事面談やメンターの先輩から「営業部署ならこの資格を取ったほうがいいよ」と背中を押してもらったのがきっかけです。最初は「営業3級」。その後、「マーケティング3級」や「労務管理3級」など計4資格を取得しました。
私は大体試験の3か月ほど前からテキストを読み進め、最後に過去問で確認するというスタイルで勉強をしました。子育て中は昼休みに勉強するなど工夫しました。学ぶ中で、日々の業務や打ち合わせで耳にしていた言葉が知識と結びつき、「これか」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。特に「労務管理3級」を取得後は、仕事の理解度が一気に深まり、わからないまま進める不安がなくなったという実感があります。
資格取得が特別なことではなく、自然な文化として根づいているのも当社の特徴。今後は2級にも挑戦し、より深い知識を実務に生かしていきたいと考えています。