JAVADA情報マガジン6月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-
◆2016年6月号◆
第三回 実施に当たり、会社に理解していただきたいこと |
|||
キャリアカウンセラー、ファイナンシャルプランナー、調理師、自動車整備士 |
|||
|
第一回の中で、三回、四回のテーマを
とさせていただきましたが、少し入れ替えを行い、変更させていただきたいと思います。 第三回に、「実施に当たり、会社に理解していただきたいこと」 前回のコラムでは、社員にもお客様満足度(CS)同様、適正なレベルの社員満足度が必要ではないかと、いうお話を書かせていただきましたが、ある経済番組の中でも似たような話が取り上げられていました。 「社員が自分の会社に働き手を紹介したいと思える会社が魅力的会社である」 と言う考え方を中心にして、就職の新サービスを構築した。 というような内容でした。 この例を見ても、やはりお客様への営業と従業員の待遇とは、よく似た内容に思えます。 同様に、働き手の満足度が高ければ、他者に案内しても良いという気持ちになれる会社 ただ、顧客満足度や、従業員満足度をあげるため経費がかかりすぎては、サービスとして継続が難しい。CSと考え方が似ていると思いませんか?
では、従業員のやる気や満足度を保つためには一体何をすればよいのでしょうか? その社は、成果主義制度で、アルバイトから入ったとしても、成果が上がれば、店長にも昇格できる可能性があるそうです、数字が評価に比較的直結するシステムであり、務めていた方の話によると、もちろん大いにやる気に貢献したとのことでした。けれども、意外にもこのシステム、モチベーションが長続きしないというのです。 話をしてくれた当人は、有力営業店の副店長にまで成れたそうです。もう一歩で同店の店長にもなれそうだったとのことでした。当然やる気を大変刺激されて一生懸命働いたそうで、自分が働くだけではなく、店舗内の人間のモチベーションにも配慮し、店舗の売り上げ上昇にも力を発揮したとのことでした。(がゆえに副店長にまでなれたのだとのお話しでした。) また、店長になってしまうと、その先は、本社扱いで、エリアマネージャーになるそうですが、エリアマネージャーになれる人間はほぼ皆無とのことで、実際には店長止まり。また、必死に努力してきて確保している店長という地位も、さすがに長く無理をして維持することも難しいと思うと、長く必死に努力し続けるモチベーションはもてなくなったそうです。(もちろん給与にも反映しているシステムでもあるのですが、それでもモチベーションが維持しきれないとのこと) つまり、モチベーションの起源を直接の成績と人事評価、報酬に制度に求めると、結果としてはモチベーションを長く確保することが難しいということになったわけです。 このシステムにはエリアマネージャーと、その下の店長までとの評価や待遇差が大きすぎることと、店長までの評価反映が早いが故、平均的力量での評価がされず、一時のパフォーマンスを引き出すことには成功しているが、長期に渡ってモチベーションをコントロールできる範囲を超えているという問題を抱えていると考えられます。 この例は成果主義を中心としただけでのモチベーションコントロールの限界を示していると私は考えています。 では、どのようにやる気を持ってもらうのか?という点ですが、基本的には、自分の人生設計もしくは、やりたいことと会社の目的を近寄せることであると考えます。その理解と実行には、キャリア学が有効であると思うのです。 ![]() その一例をあげれば、エドガーシャイン教授のキャリアサバイバル、キャリアマネージメントという考え方の中などにも方法が示されています。 従業員のやる気を、当人の人生設計と会社の方針との間で調整一致をさせ、長期間の能力向上を考え、キャリア育成という考え方から見た場合、長期に渡ったモチベーションを持ってもらうことも可能になることを感じています。そこから、個人個人に長期にわたって力量を発揮してもらうことが必要と考えていますが、経営環境は高速化しており、事業の体制変更は頻繁に発生するようになっている現代で、生涯雇用の確約も難しくなっているという側面も含め、いうほど簡単なことでは無いとも思います。 では、どのように、個人のキャリア育成と、個人の仕事や会社に対するモチベーションの維持と、会社の経営スピードとの間で調整を取るのかということですが、そのためには、従業員のキャリアの概念に柔軟性を持たせ、キャリアの育成を図る必要性があるのはないかと考えています。 柔軟性を持ったキャリアの概念とはどういうことか? ですが、つまり従業員が、何のプロになるか? ととらえています。 プロになるということは、しっかりとした専門性を持つことですが、例えば、事務でも、営業でも、 自社内的に上手になる = 自社内的プロフェッショナルである と同時に、専門性を極めると、汎用性がなくなり、変化への対応力が下がるという側面もあります。 たとえば、営業職を考えたとき、業界のみの営業のプロは、他業界では、また覚え直しになります。 最初から、こういった概念を持った上で、キャリア形成を行っていくことが、変化に対応しやすい体制を作るのではないでしょうか? また、全員が全員汎用性の高い能力に目標を置かなくともよいと考えます。会社には、専門のプロがいてくれることも必要とも思うのです。 つまり、これからの経営には、顧客の観点から考える力、経済の側面から経営を考える力、人の側面(特に職業能力開発(発達)とモチベーションコントロール)に関係する概念も持っていたほうが強い会社を作れるのではないかということです。 上記の考えを実施するにあたっては、簡単なことではなく、やはり、心理学も駆使できる専門家がいたほうが良いとは思われます。そのための専門家とは、まさに、キャリアコンサルタントということになります。 ただ、会社との連携が重要になってきますので、可能であれば社員の方が良いのではないでしょか? そして、実際に機能させるためには、キャリア学、やキャリアコンサルタントについて、経営側、上司等も少し知識、もしくは関心をもっていただきたいとも考えます。 ところで、当文章を読みながら、ドキッとされたキャリアコンサルタントの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 果たして、すべてのキャリアコンサルタントが上記のことを専門家として実行できるのか、疑問な点もあります。 心理学やキャリア学を、経営陣は勉強して損はないと思います。経営陣は、忙しいのに、そんなことをしている暇はないと仰る方も多いでしょう。ごもっともな意見とも思うのですが、けれども、この知識には十分なメリットもあります。なぜならば、以下のように考えているのです。 「経済学と心理学は、隣接地域」 なぜなら、人が経済を生み、経済が人の心に大きな影響力を持っているから。言い換えれば、 「お金とそれを扱う人の心が、お互いに影響しながら大部分を支配しているから。」 経済はお金、金は欲に近い存在。 人の欲は人の心理が強く反映している。 だから、人の欲は把握できれば、経済原理には反しないはずです。 そんなわけで、私は、心理学を学べば、経済学をより強くすることができることから、経営にとって中核的知識の一つとなりうる可能性が強いと考えており、お忙しい中でも、経営者にとって学ぶことが損にならないと思うので、お勧めできるのです。 ここで、思い出されるのは、前回掲載させていただいた、木村 周 先生の「キャリアコンサルティングは、経営そのものです」と言うお言葉です。 ご興味をお持ちいただけたでしょうか? もし、ご興味を頂けたのであれば、実際の導入にあたって注意点や、現在のキャリアコンサルタントの状況の解説、それを改善するために経営陣に是非お願いしたいことを次回にて記載させていただこうと考えております。
|

