【私のキャリア・シフトチェンジのためのワークショップへの取り組み】 ~自己紹介を兼ねて~
皆様。キャリアコンサルタントの池元正美です。天然砂蒸し温泉のある鹿児島県指宿市でフリーのキャリアコンサルタントとして活動しております。
主な活動としては、大学でのキャリアデザイン科目の非常勤講師、職業訓練校の就職支援、企業の人材育成やキャリア開発支援、地元指宿市との協働による地域の場づくりなどに取組んでいます。
今回、機会をいただき、企業における【キャリア・シフトチェンジ(CSC)のためのワークショップ】に関する私の取組みについて、現場で感じていることや事例、今後取り組んでいきたい活動などについて3回に分けてお伝えさせていただきます。
第1回目は「CSCワークショップとの出会い」「ワークショップの中身についての感想」「鹿児島での私の取り組み」についてです。
【CSCワークショップとの出会い】
私がCSCワークショップのインストラクター養成研修を受講したのは2015年です。当時は鹿児島県職業能力開発協会のキャリア形成サポーターとして、鹿児島県内企業のキャリア開発支援に取組んでおり、訪問先の企業で人材育成やキャリア開発に関する相談対応、及び研修、組織としての課題の診断と課題解決のための方策の提案などを担当しておりました。その活動の中で、シニア世代の能力開発や組織としての対応などの課題についての相談を受けることが増えており、その課題に特化した支援方法について模索しておりました。そんなタイミングで、このワークショップの開発者でもある山﨑京子先生を講師にお迎えして、鹿児島県職業能力開発協会主催によるCSCワークショップインストラクター養成研修を企業の人事担当の方々と共に受講することになりました。
インストラクター養成研修におけるグループワークでは企業の皆さんの率直でリアルなご意見をお聞きすることができ、解説の中では開発者から開発の経緯や社会的背景、基本となる考え方に触れることもでき、このプログラムへの理解が深まりました。当時は、個人的に地元の仲間と「トランジション」(ウィリアム・ブリッジズ著)の読書会を開催しており、本に書かれている、人生の中で繰り返し向き合うことになる「転機」の意味、その過程における「転機」との向き合い方と重なる部分を感じ、よりこのワークショップへの関心が高まったことを記憶しております。
研修の中でも、組織におけるシニア世代の抱えている不安や葛藤にキャリアコンサルタントとしてどう向き合っていき、支援していけばいいのかのヒントもたくさんいただき、とても貴重な学びと気づきの時間になりました。
そんなこともあり、このワークショップを自分が実施していきたいと強く感じました。
【ワークショップの中身についての感想】
このプログラムは自己診断と事例を通したグループでの話し合いが中心となっており、キャリア・シフトチェンジに必要な考え方や視点、参加者にとっての課題の整理、研修終了後参加者が取り組んでいくことの明確化、といった内容が盛り込まれています。
私自身もインストラクター養成研修の中でワークショップを体験することで、「将来にわたって活き活きと働き続けるため」に必要となる自己点検や能力開発の重要性を理解し、シニア世代の皆さんが主体的に将来に向けての自分のキャリア開発に取組んでいくためのきっかけとなっていくことを実感しました。
中でも、「ライフキャリア・チェーンとキャリア・シフトチェンジのイメージ図(仕事の型)」や「プラットフォーム能力」を通して考えることで、シニア世代の皆さんが組織の中においても、組織を離れたとしても、自らの仕事人生を主体的に展開していく上での重要な指針となっていくことを強く感じています。
ライフキャリア・チェーンとキャリア・シフトチェンジのイメージ図
出典:中央職業能力開発協会「キャリア・シフトチェンジのためのワークショップのご案内」p.5
ここで、実際に私がワークショップのインストラクターを担当している際に感じることについて書いていきます。
まず、4つの事例についてです。参加者の皆さんの反応を拝見していると、最初は「よくいる困った人」といった感覚で読んでいることが多いようですが、グループで話し合うことで「その人が抱えている課題は何か」といった視点で整理し、プラットフォーム能力を通して事例の人物についての具体的な課題を考え、「今後どのような能力を伸ばしていけば、その人が活躍できそうか」といった視点へと変化していく様子を感じます。はじめは、事例を他人事として捉えるのですが、個人ワークで考え、グループで話し合っていくことで、自分自身の能力や課題について振り返ることにもつながっていくようです。
次に、キャリア・シフトチェンジのイメージ図にある「仕事の型」については、組織における仕事への取組み方について、それぞれの役割や成長度合いに応じて自ら学び、変えて行くことの重要性について図解されています。この図を通して考えることにより、自分が職業人生を展開していく上で仕事に取り組む姿勢を確認することにもつながり、すべての世代の人に参考になる図だと感じています。
プラットフォーム能力は、将来にわたって活き活きと活躍していくための土台となる変化対応に必要な基礎能力であり、3つの区分に16の能力要素で構成されています。事例に登場する人物についてプラットフォーム能力のどの能力要素が影響しているのかを考えることで、より具体的に課題を言語化することにつながり、あわせて個人で取組む診断票の作成により、自己点検もできるようになっています。
ワークショップ全体を通して、一つ一つのセッションの段階を積み重ねていきながら、プラットフォーム能力の理解を深め、最終的には今後参加者が取り組んでいくための行動計画の策定まで繋がっていくような構造になっており、ワークショップ終了後、日常的に意識して取り組んでいくことが可能になると思われます。
【鹿児島での私の取り組み】
インストラクター養成研修を終了後、定期的にワークショップを担当させていただく機会を得て、学びと実践を繰り返すことができたことはとてもありがたいことでした。今回改めて確認してみると6年間で10回ワークショップを担当しており、その度にこのワークショップについての思いを強くし、重要性を理解できたと思っています。
最初の三年間は、鹿児島県職業能力開発協会主催により、県内企業のシニア世代の社員の方々にご参加いただくオープン型で実施しました。開催にあたっては、各企業にお邪魔してこのワークショップの意義と必要性をお伝えする機会もありました。その際、人事担当者の皆さんからも現状をお聞きし、様々な生の情報に触れることで、ワークショップでの解説や運営に可能な範囲で反映できるよう工夫もしていきました。
初期の頃は、ぎこちない部分もあったかと思いますが、インストラクター・ガイドを読み込み、自分なりの説明資料を作成するなどプラットフォーム能力の理解に努めていくことで、徐々に自分なりの伝え方が身についていったような気がします。
実際のワークショップでは、各参加者の視野を広げること、グループでの対話が十分に行われるよう観察や声掛けをし、参加者の内的探索が深まるような環境を整えることを意識しながら進めております。その点では、インストラクター養成研修でのメモや資料、ガイドなどがとても重要な手掛かりになり、インストラクターとしての在り方を意識することが出来たのではないかと考えています。
ワークショップ終了後は、参加企業を訪問し、人事担当者から参加者のその後の様子やご意見等をお聞きすることもありました。そこで得られた情報を、自分自身の反省点やワークショップ運営の参考としています。
次回は、年1回実施している企業内でのワークショップの様子についてご紹介していきたいと考えております。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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