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JAVADA情報マガジン7月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-

2019年7月号

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外国人人材活用のための採用と定着化のポイント(2)

株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門マネジャー
   織田 真珠美 氏 《プロフィール

前回は、企業の外国人人材採用の目的を「日本人人材の代替」、「グローバルで活躍する専門性を身に付けている人材の獲得」、「外国人の持つ視点や特性を他社との差別化に活かすため」の3タイプに整理した。本稿では、それぞれの特徴と採用・定着化のポイントを示したい。

目的 概要
日本人人材の代替 人材不足への対応
外国人である必要はない
安価な労働力、深夜・早朝の勤務、力仕事への対応を求める
グローバルで活躍する専門性を身に付けている人材の獲得 主に中途採用の市場
専門性の高い仕事に着目、労働力を広く海外に求める
外国人の持つ視点や
特性を他社との
差別化に活かすため
多様化する市場への対応 母国語に優れる・文化慣習を熟知している→インバウンド対応、本国と消費地国のブリッジ人材、外部の視点→日本市場について新たな気付きを得る
海外とのブリッジ役

 

1.日本人人材の代替

(1)外国人人材活用の目的と人材に期待する価値、施策導入が目指す方向

日本人人材の代替として外国人労働者を採用するケースの場合、企業が人材に期待する価値は、労働力の確保にある。外国人人材は一定の制限がある人材を受入れている場合が多い。同じ人材に長期間にわたって働いてもらう事はできない事を前提に検討する必要がある。そこで、この場合の外国人人材活用の施策導入が目指す方向は確保した人材の満足度を高めて良い仕事をしてもらう事、自社に対する良い評価が広まる事で、次の採用において有利になる状況を作り出す事にある。

(2)企業が求める人材が抱える代表的なニーズと企業が取り得る施策のポイント

この場合の人材は、様々な事情で日本での就労を希望している。まずは、金銭的報酬が重要な関心事であるが、それ以外にも技能や技術を学ぶためだったり、学んだ事や経験を母国でのキャリアアップに活かす事を主要な関心事に据えたりする場合も多い。あるいは、日本文化により多く触れるために働く事を希望する人材もいる。それぞれのニーズに合った勤務の機会を提供する事が期待される。

人材が不足する業態で働く人材の場合、日本語能力が不十分であっても働く事ができる職場である事が、入職のきっかけとなる事もある。受入企業においては、コミュニケーション能力が不十分である事を前提に、安心・安全な職場環境を実現する事が求められる。また、職場に対する支援としては、短期で即戦力化が図れたり、コミュニケーションを円滑にするための仕組みや教育が行われる事が期待されるだろう。

(3)人材確保及び定着化に向けた取組のポイント

(ア)採用段階での取組

人材の必要条件を明確化する事

まずは自社にとって、どのような人材がどの程度必要かを明確にする必要がある。
例えば飲食業を営むテンアライド社では、フロアでの接客対応に外国人人材を活用する上で、接客対応の根本には身だしなみや笑顔、話を聞こうとする姿勢に表れる、個人のモラルや性格が重要と考え、採用の中心に据える事とした。一方で、日本語能力は仕事の中で覚えればよいと考え、採用時に重視するポイントにはしていない。

雇用管理の疑問や不安は外国人雇用管理アドバイザーに相談して解決する

外国人労働者は、在留資格の範囲内で就労活動が認められる。従って企業は本人の在留資格を確認して、その範囲内で勤務させるように管理が必要であるし、ハローワークに届けをすることが求められている。外国人労働者の雇用に関する知識や経験がないと、就労の制限や必要な手続きがわかりにくく、外国人労働者の雇用管理は煩雑だと感じている企業は多い。過去に雇用管理が煩雑と感じて外国人労働者の雇用を断念した場合や、コンプライアンス上の不安を抱えている場合、専門の民間サービスもあるが、まずは外国人雇用管理アドバイザーに相談することをお勧めする

(イ)定着化に向けた取組

職務を明らかにして、標準化する事

働く事のできる時間や期間に一定の制限がある人材を受け入れる以上、短期間で即戦力に育てる必要がある。職務を明らかにして標準化し、マニュアルに落とし込む等の取組が必要である。

職場のルールを明確化する事

外国人人材を受け入れる職場においては、多かれ少なかれ、外国人人材と日本人人材との間のコミュニケーション上のすれ違いが起きる。外国人人材を受け入れる職場は人手不足で社員が忙しい事も多く、人材の入れ替わりも頻繁に発生する。コミュニケーション上のすれ違いは、ルールが共有化されていない事を発端とする事が多いので、職場のルールを明確化する試みや、外国人人材、日本人人材共に、コミュニケーション上の留意点を明確にする事が有効である。
この際に、可能であれば一定の期間現場で働いた外国人人材を中心に、とりまとめを行う事が有用である。これらの人材は既に、自らの体験として自身の文化と日本の文化の違いを感じたはずであり、その違和感を貴重な資源として、ルールに落とし込む事が期待される。

先輩社員によるフォロー体制の構築

特にサービス業においては、お客様を相手とした場合の臨機応変な対応が求められる。お客様との間の微妙なコミュニケーションや、万が一クレームとなってしまった場合の対応の仕方等、マニュアル化できない対応には、先輩社員によるサポートが必要になる。なお、これらの取組は現場任せにする事なく、本社が主導するべき取組である。

職場のキーマンに対する啓発と支援

外国人人材を受け入れる以上、職場に負担がかかる事は避けられず、日本人人材と外国人人材の言い分を調整し、まとめあげる人材が必要である。この役割は店長や課長といった現場のキーマンによる介入が必要な場合も多く、これら職場のキーマンに対する教育・啓発は重要なポイントになり得る。職場のキーマンに対する教育・啓発を通じて、キーマンが外国人人材をサポートするように促す事は有用である。

フェーズ ポイント
採用 人材の必要条件を明確にする事
雇用管理の疑問や不安は外国人雇用管理アドバイザーに相談して解決する
定着化 職務を明らかにして、標準化する事
職場のルールを明確化する事
先輩社員によるフォロー体制の構築
職場のキーマンに対する啓発と支援

 

2.グローバルで活躍する専門性を身に付けている人材の獲得

(1)外国人人材活用の目的と人材に期待する価値、施策導入が目指す方向

より高い能力やスキルを持った人材の獲得を目指して、海外労働市場にアクセスするもので、従前、グローバル企業を中心に見られた動きである。近年は将来のグローバル化を目指す、あるいは、より専門性の高い人材を求めて、グローバル企業ではない企業でも外国人人材を活用する動きが見られる。このタイプの企業の場合、企業が人材に期待する価値は、専門的な能力、スキル、経験の発揮や人的ネットワークを通じた情報収集等である。特定の機能を担う人材を念頭におく事が多く、外国人人材の有する専門性が重要なポイントとなる。

このタイプの人材獲得の場合、人材のスキルや経験、人脈等が図りがたく、採用コストが高い事、そもそも専門性を持つ人材へのアクセスが難しい等の特徴があるため、外国人人材活用の施策導入の目的は、採用した人材には長く働いてもらい、自社のためにスキル・知識・技術を磨き続けてもらうための活躍の土台を整える事にある。

(2)企業が求める人材が抱える代表的なニーズと企業が取り得る施策のポイント

この場合の処遇水準は、グローバルに展開する人材に最低限相応しい内容である必要がある。一方で入社の決め手は別にある事が多い。特に若手は処遇よりも企業の将来性や自らのやりたい事を実現できる環境であるか否かを優先しているようである。中高年の一定以上のキャリアを積んだ人材は、子女の教育環境がポイントとなる場合も多い。求める人材のスキル、今後の展開の期待に応じて、対応が必要となるだろう。

専門性を磨いた人材には、自らの専門性を発揮して、キャリアアップする場所を探している。そのため、実際に活躍できる環境にあるか、や、企業理念への共感が就職の決め手となる。

(3)人材確保及び定着化に向けた取組のポイント

(ア)採用段階での取組

人材に認知してもらう

優秀な人材を海外の労働市場で確保するためには、まずは求める外国人人材に自社を知ってもらう事が重要である。グローバルに展開しており、広く名前が知られている企業は別として、多くの日本企業は外国人に知られていないのが実態である。外国人人材に自社を知ってもらう取組として、大学に直接アプローチしたり、ハッカソンやインターンシップの機会を設けて接点を持つ等の工夫が考えられる。

他社ではなく、自社で働く事の意義付けをする

専門人材は、社員に対する期待を明確にする事で、モチベーション高く仕事に取組む事が期待できる。他社ではなく、自社で活躍してもらうために、自社の差別かポイントを明確にする必要があり、企業の経営理念や将来のビジョンを明確にして、目の前の人材にどのように活躍してもらいたいかを具体的に語れる事が重要である。

(イ)定着化に向けた取組

職場における情報の共有を支援する

多くの外国人人材が働き、経営に携わる段階にある企業では、社内の公用語を英語とする必要があるだろう。一方で多くの日本企業では、そこまでの対応は不要であるし、ハードルが高くなりすぎるため、導入には慎重な検討が必要である。一方で、受入部署においては、日常のコミュニケーションから会議、業務指示まで外国人人材にも分かるように対応するが必要であり、職場の負荷が高まる事に繋がる。負担を軽減するために、当面は外国人人材のための翻訳・通訳をつける事や、サポート役の社員には役割を任命して 業務としてカウントする等して、外国人人材に対するサポートが確保されつつ、職場に対する負荷が受容しやすくなるように支援する事が望ましい。

活躍できる環境と機会を提供する

専門人材は、自身のキャリア形成に強い自覚を抱いている場合が多い。そのため、採用時に受けた説明と入社後の対応が異なると不満に繋がりやすく、採用時と一貫性を持った対応が必要となる。また、日本企業が抱く職務に対する感覚と、キャリア形成のスパンは外国人人材の考えとは異なる場合が多い。グローバルの基準に慣れた外国人人材は、この違いに戸惑いを覚えて早期に離職してしまう可能性がある。職務内容の限定や、早いうちから活躍できる場を設定する等の取組が有効である。 専門職人材の採用においては、従来の日本人人材と比較して処遇の水準が高くなる可能性がある。処遇の水準を高めると共に、重い責任と活躍の場を与えて、キャリアを磨く経験を積ませると共に、仕事ぶりや成果を評価して、処遇に反映する仕組みが求められる。

日本の生活への適応を支援する

外国人材が活躍できる環境を整えるためにも、まずは日本の生活に慣れる支援が必要である。基本的な日本語教育の実施や、住居を選ぶ際のサポート、行政手続きの支援が考えられる。先進的な企業の例では、これらプライベートを含む事柄について、情報発信のサイトを作り、基本的な仕組みや申請手続き等を紹介する事や、情報サイトにコミュニケーション機能をつけ、社員同士が教えあえるようにする等の工夫が取られている。

フェーズ ポイント
採用 人材に認知してもらう
他社ではなく、自社で働く事の意義付けをする
定着化 情報の共有を支援する
活躍できる環境と機会を提供する
日本の生活への適応を支援する

 

3.外国人の持つ視点や特性を他社との差別化に活かすため

(1)外国人人材活用の目的と人材に期待する価値、施策導入が目指す方向

外国人の持つ視点や特性を他社との差別化に活かすため、外国人人材を採用するケースは、海外市場へのブリッジ役を期待するケースと、国内市場におけるインバウンド対応や多様化する消費者のニーズに外国人ならではの視点を活かすケースが考えられる。このような企業においては、外国人人材には多様な背景や価値観、言語、現地でのネットワークを期待している。このような文化的な背景に親和性を持つ人材の確保と、その特性をどのように活かすかを考える事が重要である。このタイプの企業の場合、外国人人材活用の施策導入の目的は、自社で長く働き、いずれは経営の一角を担う人材を育てる事になるだろう。

(2)企業が求める人材が抱える代表的なニーズと企業が取り得る施策のポイント

このタイプの人材像は、いわゆる「高度外国人人材」と認識される層である。高度外国人人材が抱えるニーズを明らかにする調査は多いが、その結果からは、外国人人材に対して抱くイメージと実際とのギャップや、日本人人材との違いが浮き彫りとなっている。以下に示す3点は、代表的なギャップの例である。

従業員が望む定着のための支援

従業員が望む定着のための支援

(出所)厚生労働省委託事業「高度外国人材活用のための実践マニュアル」

 

ギャップ① 賃金水準の優先順位は日本人人材と比較して、高い水準にはない

外国人人材というと、外国人経営者の例にみられるように年俸の高さが目立ち、定着化のポイントは、賃金水準の高さが決め手になるとの印象が先立つのではないか。この点、高度外国人人材に対するアンケート結果からは、賃金水準の引き上げに対する希望は、日本人若年労働者と比較して高い水準とは言えない。むしろ、次に述べる配置の点や自己啓発といったキャリア形成の観点や、仕事と家庭の両立支援といった項目の優先度が高い点は特徴的である。

ギャップ② キャリアアップの観点を重視しており、希望の職場への配置や自己啓発支援を望む傾向がみられる

前述のアンケート結果からは、高度外国人人材が定着化のために求めるニーズとして、「本人の特徴を活かした配置を行う」や「自己啓発に関する支援制度の実施」といった項目が高く出ている。まとめると、外国人人材はキャリアアップにつながる施策の充実を望む傾向にあるといえるのではないか。

ギャップ③ 日本企業は採用の場面において日本語能力の高さを、重視しがちであるが、他社との差別化を目指すのであれば、むしろ逆効果

外国人採用においては、日本語能力の高さを重視するケースが多いが、ブリッジ役やインバウンド対応を期待するのであれば、自国とのつながりや文化的背景を大事にできる人材を大事にする事が必要である。
日本総研が実施した企業調査では、外国人の採用・活用で考慮する事(複数回答)として、「人物・人柄」が69.3%、「日本語能力」が68.6%と、多くの企業が業務を遂行する上での基礎的な面を挙げている。この点、労働力の代替としての外国人人材を求める場合には、基本的な日本語能力の有無が就業上、重要なポイントとなる事も多いが、「外国人の持つ視点や特性を他社との差別化に活かすため」に外国人人材を採用しようとする場合は、採用時点における「日本語能力」の高さを求めない事がうまくいく場合もあると考える必要がある。採用時の日本語能力や日本文化に対する理解は、最低限度あるいは不問とすべきである。採用時に文化的背景についても確認しておき、企業が配慮できる要素は柔軟に対応する事が必要である。

採用にあたって考慮すること

(出所)日本総合研究所「『人手不足と外国人採用に関するアンケート調査』結果-受入拡大に多くが賛成。
制度の改善・国内人材の活用支援の要望も-」より作成

これら外国人人材のニーズを取り入れようとすると、従来型のジェネラリスト志向、長期の雇用を前提とする日本人人材と同じ処遇では難しい事が多い。一方で、外国人人材と日本人人材の処遇が異なった状態が常態化すると、人材の融合が進まず適切ではない。当初は外国人人材に限定した取組、あるいは、部署を限定した取組であっても、数年後には人事制度における外国人人材と日本人人材の取り扱いの一体化が必要で、キャリアパスの複線化や早期育成の取組を実現する事、責任や役割に見合った水準で処遇ができる賃金制度の設計、評価制度の明確化が必要である。

(3)人材確保及び定着化に向けた取組のポイント

(ア)採用段階での取組

採用前に人材を見極め、職場での受入をスムーズに進めるための見極め期間の設定

人物、人柄や、自社で活躍するイメージを重視した人材の見極めが必要である。例えば、富士通の事例では、留学生でない海外人材には採用前にインターンシップを実施して、本人の志向と職場で受入可能かを見極める取組が行われている。入社後のギャップを回避すると共に、職場での受入をスムーズに進めるために有効な取組と考えられる。

(イ)定着化に向けた取組

早期に責任ある仕事を任せ、期待する役割に見合った処遇を行う事と共に、成果を見極めて次に期待する役割や処遇に反映させる

繰り返し述べているが、外国人人材は早期のキャリア形成や専門性の追求に対するニーズが強い。そのため為、早期に責任ある仕事に取組ませ、活躍する機会を提供したり、専門性を磨く機会を提供したりする事が期待され、処遇もそれに見合った水準を確保する事が必要である。責任ある仕事に取組ませる事と対になる形で、評価は成果主義を導入し、実際の成果を見極めて、期待する役割や処遇をすり合わせる事が必要になるだろう。

責任ある仕事の任せ方と処遇の見直しを全社的に見直す

日本人人材においても、若手を中心に早期のキャリア形成や専門性の追求に対するニーズが存在する。従来型の評価や処遇、キャリアパスでは優秀な人材を逃す可能性が高くなる。日本人人材を含んだ全社的なキャリアパスの早期化や多様化、処遇のメリハリの検討が必要である。
先行して海外の自社工場で外国人人材を確保してきた製造業では、低い現地人材枠ではなく、本社水準に合わせた処遇を確保することも必要になるだろう。このような人材交流を実現するためには、日本人人材を含めたグローバルでの処遇の再設計を行う事が必要になる。

コアに持つ価値観の明確化と浸透のための施策の実施

外国人人材ならではの視点を活かし、ダイバーシティ経営を目指すのであれば、同質の人材を登用していては達成する事ができない。一方で、多様な価値観の尊重といっても、当社として譲る事のできない価値観は継承する必要がある。いずれは外国人人材から経営の中核を担う存在に育てる事を前提に、企業文化及びコアバリューの浸透を図り、そのような価値観を共有できる人材に活躍の場を与え登用する取組が求められる。この取組によって、選抜の課程を透明化し、標準化する事は、経営の透明化にも資する。

外国人人材による成功モデルの提示と、キャリア形成スパンのすり合わせ

外国人人材にとって、従来型の日本人のキャリア形成スパンは長いと感じる場合が多い。一方で、様々な部署を経験し企業文化やコアとなる価値観を共有し形成していく従来型の日本企業の育成方法にも良い部分がある。経営の中核を担う人材に育てたい場合、この価値観共有のプロセスを無視する事はできず、外国人人材にも受入させる必要がある。この点、例えば富士通のケースでは、先輩社員と引き合わせて将来のキャリアが描けるように支援する事で、外国人人材のキャリア形成のスパンの目線を、日本企業の期待する水準にすり合わせる取組が行われている。加えて、同じ外国人人材とのコミュニティに参加させて、個人で不満や課題を抱える事なく、課題解決に向けて取組が進むよう環境を整える事で、人材の早期離職を防いでいる。

コミュニティでの受入推進

長く働き、企業に愛着と忠誠を抱いてもらうためには、職場のコミュニティでの受入を促進する事が重要なポイントとなる。そのためには、職場における受入負担を軽減する事と、コミュニティ内の交流の機会を積極的に設ける事が重要である。
富士通の事例では、所属長向けのセミナーの開催を行って、外国人人材が直面しやすい課題を共有して、マネジメント上の留意点を確認する等、職場での受入態勢の確立に努めている。

人材の持つ多様な価値観に対応できる制度の構築と柔軟な運用

企業は働き方や暮らし方について、独自の価値観を持つ人材を大事にし、柔軟に対応できる事が求められる。

フェーズ ポイント
採用 採用前に人材を見極め、職場での受入をスムーズに進めるための見極め期間の設定
定着化 早期に責任ある仕事を任せ、期待する役割に見合った処遇を行う事と共に、成果を見極めて次に期待する役割や処遇に反映させる
責任ある仕事の任せ方と処遇の見直しを全社的に見直す
コアに持つ価値観の明確化と浸透のための施策の実施
外国人人材による成功モデルの提示と、キャリア形成スパンのすり合わせ
コミュニティでの受入推進
人材の持つ多様な価値観に対応できる制度の構築と柔軟な運用

 

4.総合職として採用したところ、たまたま外国人であったケースにおける留意点

最後に、選考を行った結果、採用した人材がたまたま外国人であったケースでは、途中から「外国人人材」としての特性を活用する事に方針転換する事も考えられる。

日本企業における新卒の選考過程は日本固有のもので、その選考結果を経た人材は、当初から日本企業で働きたい意志を持って応募してくる人材である。そのため、日本に生活の基盤を有する等、日本の生活・文化に既に順応しているケースが大半と考えられる。このタイプの人材に対しては、外国人人材として扱うべき点と、日本人人材として扱うべき点が混在する。

まずはどのように育成したいか、社内での位置づけを確認しつつ、本人がどのようなキャリアパスを描きたいかを、本人とよく相談する必要がある。女性活躍に関する項でも述べたように、本人が望まないキャリアの形成は、本人にとっても会社にとっても良い結果を生まない。どのように本人の能力やスキル、経験を引き出し、活躍してもらうかのすり合わせは、最も重要なポイントとなる。

 

今回は前回に引き続き、企業の外国人人材活用の施策導入の目的を整理し、採用と定着化のポイントを提示した。企業の人材活用の指針を明確にして、求める人材のニーズに柔軟に対応しながら、人材の活躍を引き出すための手助けになれば幸いである。

 

 


 

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