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JAVADA情報マガジン11月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-

2017年11月号

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明るい「えがお」にあふれたキャリアを積むために
キャリアコンサルタントができること
第4回 これからのキャリアコンサルタントとして

Officeえがお 代表(Facebook)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、PHPビジネスコーチ
  国家資格・2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント
   門 千奈津 氏 《プロフィール》 

3回にわたり、私の今までの道を『キャリアコンサルタント』としての考察を交えながら、述べてまいりました。今回は、最後に、女性としての管理職像、現在の私のキャリアコンサルタントとしての業務、そして未来を述べて、終わりにしたいと思います。

 

【リーダーシップとは】

管理職としての私を考えるにあたり、『リーダーシップとは何か』を考えてみました。 リーダーシップの研究の流れは、特性アプローチから、行動アプローチへ、そしてコンティンジェンシー・アプローチへ移りました。

リーダーシップとは何か

 

【管理職になりたての頃】

私は、決して能力が高いとは思いませんでした。管理職になれたのも、①たまたま、女性管理職がいなかったことから、抜擢されたこと②ダントツではないものの、年度目標は毎年達成していたこと③お客さまからは、面白い女性と思われていたことが、特性として挙げられます。

しかし、これだけでは、1つの組織をまとめることはできませんでした。

課長3年目のことです。新人女性に「お客さま訪問するのだから、もう少し、スカートの丈を長くしたら...」と、さりげなく伝えたつもりでしたが、それを理由に、一年間、私はその部下や周りの人から、一言も口をきいてもらえなくなりました。指示することも無視される次第です。スカート丈についてのひと言以外にも、コミュニケーションの不足があったのだと思い、管理職としての資質を自分自身疑いました。

そして、当時は業績不振もあり、課長から平社員に戻りました。しかし、課長待遇で働かせていただきました。その時に、男性4名の優秀な部下に出会いました。その部下たちは若武者と言えるぐらいの強者でした。PM理論で言うならば、P機能(目標達成行動)は、ずば抜けて貪欲でした。厳しい環境でも目標を達成していました。M機能(集団維持行動)は、彼らの年齢が近かったせいか、連帯感もあり、また、私を課長として立ててくれました。

私は決してPM型ではありませんでしたが、部下がPM型のリーダーシップを発揮してくださったのだと記憶しています。

図1

 

【営業部長になって...ライフサイクル理論】

私は、管理職(営業課長)での経験後、いろいろな方々に助けてもらいながら、その後は管理職として、及第点はいただけたような気がします。それは、経験を活かして、組織の所属員の一人一人の特性や状況・行動を考慮して組織運営をしたことが要因だと思います。

ハーシーとブランチャードは、メンバーの仕事に関する成熟度によって、効果的なリーダー行動が異なってくることを指摘して、ライフサイクル理論を提示しています。つまり、職務に必要な能力・知識・技術の習得度や熟練度、態度や意欲の充実度に注目し、そうしたメンバーの成熟度を時系列的に4段階に区分したうえで、それぞれの段階に効果的なリーダー行動があることを示しています。

効果的なリーダーシップスタイル

第1段階:教示的

40歳を超えて、初めて営業転出したAさん(男性)が部下になりました。異動に不満を持つAさんに対し、Aさんの気持ちをまずは、傾聴しました。その後、Aさんは大変素直な人だと理解できたので、具体的かつ、事細かに指示しました。その結果、大きな取引先を獲得し、営業で成功しました。

第2段階:説得的

大学卒業後、入社3年目のBさん(女性)は、知識を習得し、仕事は楽しくなってきたようでしたが、成績が芳しくありません。それでも、熱意をもって活動しました。「大口が決まった。」と帰社しましたが、「会社を辞める」と泣いて訴えました。全く、矛盾することです。 しかしながら、よく聴いてみると「君の熱意に負けたから、契約するよ。」と言われたのです。私なら、うれしい言葉なのですが、Bさんにとっては、プライドが傷つけられたのです。「営業に自信を持ち出したのに、自分の提案で加入してくれるならうれしいが、義理で入られるなんて、私は悲しい。こんなことで苦労するなら、辞めます!!」と言いました。 一所懸命、Bさんの話を聴き、自分の考えを説明しました。「お客さまの発言の真の意味は何だろうか。本当に義理だけで加入する方なのか?」を考えてもらい、事なきを得ました。
 その後、Bさんは大変イキイキと活躍してくれたことを覚えています。

第3段階:参加的

実績があり、大変私を立ててくれたCさん(男性)は、営業所で孤軍奮闘していました。
  転職組で、ハングリー精神もあり、優秀です。早く会社に慣れて、課長に昇格してもらおうと必死でした。私は営業所のVIP取引先にも、頻繁に同行しました。上司である私をうまく使い、成果を上げてくれました。Cさんは経験値が高いため、提案や問題解決などにおいても、積極的に意見を出してくれました。私はCさんを尊重し、組織の一員として活躍してくれるよう配慮しました。

第4段階:委譲的

私が全国で初めて、女性の営業部長として着任した営業部には、同期の営業課長Dさんがいました。優秀なDさんなので、私が女性であるだけで先に営業部長になったのだと私は思っていました。「女性で、かつ、同期の上司となんて、私がDさんの立場だったら、嫌だろう。」と推測し、また、私もやりづらさを感じました。目標達成に向けて、円滑に仕事ができるだろうかと、大変心配しました。そこで、新年度に、私は、Dさんに意見を求め、合意の上で目標や課題を決め、Dさんに任せて成果を出すこと、つまり、右腕としての働きをお願いしました。お互いが、その足りないところを補いあいました。特に、女性管理職、特に私が足りない能力(冷静な判断能力など)を補ってもらい、組織目標の達成ができました。

 

【女性管理職として】

なんとか組織を運営してきた私でしたが、時代の変革と共に私は、古い形の管理職になってきたと感じていました。1990年代にバスが指摘した『変革型リーダーシップ』の欠如です。産業・組織心理学の中で、「経営環境の変化に適応していくための組織変革の重要性が指摘され、その取り組みに不可欠の要素として、管理者の変革型リーダーシップが挙げられている。」と記載されています。まさしくその通りで、私の営業スタイルは、『部下の士気を鼓舞すること。お客さま・部下などすべての人を大切にすること。メンバーと協働して、良いアイデアを出し合い、自由闊達な意見が言える職場にすること。必ず成功すると念じて行動すること。陽転志向...。』でした。時代は変わっても、『いい会社にしよう』という、会社のスローガンと共に、管理職として、営業スタイルを変えずに活動を続けていこうと思いました。しかし、知的かつ変革された発想が欠如していました。産業・組織心理学の中で、山口裕幸先生は、以下のように、書かれています。

「変革型リーダーシップの実践には種々の困難が伴う。相当にストレスフルな仕事であることを覚悟しなければならない。だからといって、自分で自分を精神的に追い詰める必要はない。厳しく、つらい現実と向き合って、へこたれることなく粛々と役割を遂行していくためには、以下のような気構えの転換が役に立つ。」(以下、ポイントのみ記載します。)

① 「そもそも集団の運営はなかなかうまくいくはずがない」と思っておくこと

② 「職場には摩擦や葛藤はあって当たり前」と思っておくこと

③ 「メンバーのやる気を引き出す工夫をすること」

④ 「好かれようとすることに汲々としないこと」

この本を当時読んでいたならば、もう少し、悩まなくて済んだかもしれません。

結局、私は、新しい波に乗れなかったのです。

しかしながら、女性としてのしなやかさで活動できました。今、女性管理職の成功がクローズアップされますが、組織の中では、成功は、一人でできることではないと確信しています。男女問わず、お互いを尊重し、感謝してこその成功です。男性には女性にない強さがあります。それについては、私は素直に、頼りました。自分の欠けているところを正直に伝えました。失敗は数多くありましたが、謙虚に認め、教えを請いました。

これからも、その姿勢を崩さずに、キャリアを積んでいきたいと思います。

 

【キャリアコンサルタントとしての現状と課題】

現在、私は、研修講師とキャリアコンサルタントの両輪で業務をしています。最近は人材開発支援助成金制度として、セルフ・キャリアドック制度を導入・実施する企業が多くなりました。企業訪問し、いろいろな対象者と一緒にキャリアを考えることは、私たち、キャリアコンサルタントにとって、活動の場が増えたことであり、喜ばしいことだと思います。

しかし、本来は、キャリアコンサルティングとは「労働者の職業選択、職業生活設計または職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言および指導を行うことをいう」のであり(職業能力開発促進法)、企業には永続的に必要不可欠なものです。私は『働く人、働こうとしている人』の『イキイキ・働き・応援団』です。ますます、企業での活動を継続的に進めていきたいと思います。それができる世の中になり、『キャリアコンサルティング』が働く人たちの共通言語になることが私の願いです。

今、悩んでいる人たちのグループワークを行ったり、個人的なキャリアコンサルティングを行ったり、小さな輪でもいいので、イキイキ働く人の輪を広げていきたいと思います。

最後に、このような拙文をお読みいただき、ありがとうございました。そして、このような貴重な機会をいただきました方々、私のキャリアを応援してくださっている皆さまに感謝の気持ちを伝え、終了したいと思います。ありがとうございました。

笑顔に感謝をこめて 門 千奈津

 

 


  • 参考文献:産業・組織心理学 有斐閣アルマ 

引用文献

  • 山口裕幸, 高橋潔, 芳賀繁, 竹村和久. (2006 年). 産業・組織心理学. 東京都: 有斐閣アルマ.
 

 

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