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JAVADA情報マガジン9月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-

2017年9月号

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明るい「えがお」にあふれたキャリアを積むために
キャリアコンサルタントができること
第2回 営業職として働く方、もしくは、営業職への選択に悩む方たちへ

Officeえがお 代表(Facebook)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、PHPビジネスコーチ
  国家資格・2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント
   門 千奈津 氏 《プロフィール》 

私は、大同生命保険株式会社に内勤営業職として採用されました。「一生できる仕事」などと学生時代には偉そうに考えていた私でしたが、大同生命に就職できたとたん、「とりあえず、就職できた!」「腰かけでもいいや!!」と、いつもながらのいい加減な人間に戻っていました。営業職種の職業理解もできていない状態です。私は『話し下手・人見知り・無責任』の三拍子です。営業なんて、やりたいとも思っていませんでした。両親には「営業、できるの?」と聞かれる始末です。就職難の時代でした。面接で「営業でも頑張ります!!」と言えば、採用されやすいと聞いて、言っただけでした。

そんな私でも、28年働き続けられたことを書くことにより、今、営業職として働く方、そして、営業職への選択を悩んでいる方の勇気づけになれば幸いです。

 

ワーク・モチベーション

営業職として成長するためには、私は、モチベーションが重要であると思っています。幸いにも、最初に配属された支社での経験が私に大きな影響をもたらしてくれました。
 そこで、アダルファのERG理論とマズローの欲求階層説で、振り返ります。

アダルファのERG理論とマズローの欲求階層説

【生存欲求】

①不安

めでたく大同生命に入社し、両親にも経済的負担をかける必要もなく、生理的欲求は満たされました。

私は、心斎橋の支社に配属されました。15名程度の支社でしたが、先輩方は、優秀に見え、近づきがたい存在の人ばかりでした。

アルダファの理論では、最も基本的な低次の階層の「生存欲求」は、人間が生存していくために必要な生理的・物理的欲求を意味します。生活に必要な給与や安全で人間らしい労働条件を求める欲求がこれに相当します。

私は、ここで、近づきがたく感じていた「仕事のできる」先輩たちに、尊敬の念と、ある意味の怖さを感じていたため、大変不安な気持ちでいっぱいでした。何をすればいいかわからないまま、時は経っていました。まだまだ、安定しない毎日でした。

②先輩への反発

ある日、先輩が研修のため、資料を配っていました。私の近くに来て、「君には要らないな。こんな資料を読んでも、わからないだろうし、すぐ辞めてしまうだろう。」と、真顔で言われたのです。そこで、火がつきました。

私は「早く、一人前になりたい」と、モデリングを始めました。当たり前のことですが、自分が新入社員であることを素直に認め、事務の先輩と仲良くなり、支社の留守番をしているときには、仕事の流れを教えてもらいました。人と話をすることが苦手な私でしたが、社内の違う職種の人達と話をすることで、話し下手・人見知りを克服しました。幸い、好奇心旺盛な私は、先輩や営業職員に対して、一所懸命質問をしました。「どうしたら、お客さまとうまく話せるのか?」「どうしたら、成績が上がるのか?」正答があるわけではないですが、私自身の『新人らしさ』を先輩方は理解してくださるようになったと思います。

このようなモデリングにより、やっと周りともコミュニケーションが取れるようになり、生存欲求が満たされました。居場所が見つかったような気持ちになりました。

【関係欲求】

次の中間的な階層の「関係欲求」は、人間関係の形成・維持・発展を求める欲求を意味します。職場の一員として仲間たちから認められ、円満に付き合って、尊敬されたり、称賛されたりしたいと願う欲求が相当します。

営業職はお客さまとのコミュニケーションも重要です。また、悔しい・つらいなどの思いも、仕事にはつきものです。それを乗り越えたのは、上司の存在・お客さまとのふれあいでした。

①上司とは...責任感の醸成

『山本五十六』の『やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。』という名言があります。私は重要な管理職の姿勢だと思っています。

その言葉を実践し、教育してくださった方が、入社して最初の課長です。四輪駆動と呼ばれ、ほとんど支社におられず、営業活動をされていました。営業は『足を運ぶこと』だと、最初に学びました。

営業には『目標達成・顧客満足・プラス思考』が必要だと思います。さらに、この3つに対して、責任を持って徹底することが必要です。中でも、数字に対する責任感はもちろんのこと、お客さまとのコミュニケーションにも最大の努力が必要です。「どうすればお客さまに喜んでもらえるか、お客さまがお怒りになるときにも、どのように気持ちよく、怒りをしずめてもらい、納得してもらえるか」など、常にお客さま目線を意識することを学びました。たとえ、お客さまの理不尽なお怒りを受ける時も、部下の前で、躊躇なく謝罪し、事なきを得ます。そこに、お客さまを満足させるという責任感の強さを感じたものでした。

目標達成に対しても、現在の状況を把握し、話し合い、達成するためのベストを尽くしました。部下育成のためには厳しい指導もありましたが、部下を信頼し、ある程度任せてもらって、活動をフォローしてもらいました。

いつも、プラス思考で、楽しく仕事をすることで私のモチベーションも上がっていきました。

尊敬する上司や先輩の存在があり、円満な営業生活を過ごせ関係欲求が満たされていきました。

②お客さまとは...癒しと励み

お客さまである会計事務所の方々や企業経営者が、私の励みになりました。ある時は、失敗もニコニコと許していただいたため、次は絶対失敗できないと、感じました。お叱りも受けました。『叱咤激励』が私にとっての成長につながりました。

税理士の方々と会話できるなど、新人の私にとっては、貴重な経験であり、それも私のプライドになりました。

【成長欲求】

最も高次の階層の「成長欲求」は、人間としてよりすぐれた水準に到達しようとする欲求と言われています。現状に満足せず、理想とする目標に近づくように、絶えず創造的に生産的であろうとする欲求といえると言われています。

営業の責任感を体感し、何とか存在感を出せるようになったと感じた私は、「もっと上に行きたい」「後輩とイキイキと働きたい」と考え、自己実現を目指しました。

最初は「課長や部長なんて滅相もない」と考えていました。しかし「今は身の丈に合わない服もやがて、合うようになる。力不足は熱意で補え。」と思うようになりました。徐々に「後輩を育てたい。後輩といい仕事がしたい。いい会社にしたい。」と自分の存在感を意識するようになったのです。

しかしながら、順風満帆であったわけではありません。部下とのコミュニケーションが不足し、課長職からスタッフに戻り、また、ある時は目標達成ができず、異動になったこともあります。

ERG理論では、人間性心理学の祖であるマズローの提示した欲求階層説に依拠しつつ考案されたものでありますが、マズローが、欲求は階層に従って段階的に現れるもので、異なる階層の欲求は現れることはないとしたのに対して、アルダファは、低次の欲求と高次の欲求は連続しており、同時に現れることもあると現実的な考え方に立っています。

スタッフ⇒管理職⇒スタッフ⇒管理職⇒専門職と、いろいろな役職に就いたことにより、低次の欲求(スタッフ降格などによる、不安・不満・恐れ)と高次の欲求(プライド・存在感・尊敬)は同時に現れました。合わせて、高次の欲求から再度低次の欲求に移行することもあることを実感しました。つまり、大げさですが、天国も地獄も味わいました。今はそれが笑って言えるほど、良い経験だったと思います。

 

営業職として働く方や検討されている方へ

どんな職種でも苦労はあります。「私に営業は向いていないのでは?」「成績が上がらない」「営業ってしんどい仕事だ」と思っている人もおられると思います。

私は『素直』にコミュニケーションできる人は営業ができると思っています。『素直』とは、自分の気持ちに正直に、「教えてほしい」「何とかしたい」「向上したい」など、思っていることを、そのまま、社内外の人に伝えることだと思います。これは、年齢に関係ありません。また、自分の目で確かめて、いい出会いをしていただきたいと思います。きっと、いい出会いは、誰もができることだと思います。以下の図は、SUPPORTいただいた方たちを図にしたものです。この図の円(縁)が増えれば増えるほど、営業力は強化されます。

SUPPORTいただいた方たちを図式化

私は、税理士の方々には今でも大変、お世話になっています。また、お世話になった企業の方々とも長くお付き合いしています。

それは、私だからとか、たまたま運がよかったとか、上司やお客さまがよかったということではありません。

「プラス思考で何とかなる」「やってみなけりゃわからない」と思ったから、今があると思っています。今、営業職の人材難だと言われます。そんな時だからこそ、もう一度、営業の『職業理解』そして、『自己理解』できれば、案ずるより産むがやすしです。素晴らしいキャリアが形成されます。

しかしながら、こういう私も『マイナス思考』になるときがあります。次回は私のマイナス思考から生じた経験を考えます。

 


引用文献

  • 山口裕幸, 高橋潔, 芳賀繁, 竹村和久. (2006年). 産業・組織心理学. 東京都: 有斐閣アルマ.

 

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