JAVADA情報マガジン8月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-
◆2015年8月号◆
『企業を取り巻く外部環境が大きく変わる中での、企業で働く人達の"悩み"と"課題"』 |
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産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士 岸 託男 氏 《プロフィール》 |
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はじめに私は、1980年に大学を卒業後、某大手繊維専門商社に入社致しました。 今回から4回の連載を通じまして、私がどのように企業人として今を生きているか、仕事の経験からメインテーマについて考えていきたいと思います。 各号のサブテーマ(予定)は次のとおりです。 第1回:私の企業内の役割とキャリア・コンサルタルティングの実践
第1回『私の企業内の役割とキャリア・コンサルタルティングの実践』(事始めから現在までの紹介)
1) カウンセリンングとの出会い私の実家は、テーラー(注文洋服仕立て業)を営んでいたこともあり、小さい時から服に興味があり、見様見真似に服を作ったこともありました。 その「私の中での変化」の後は、仕事においても、人の見方が徐々に変化していきました。どんな人でも持ち味を持っている。ちょうど管理職に成り立てで、人のことで悩むことが多かった時期でもあり、この考え方で接するとなぜかしっくりいく、ということを感じだしました。当時は会社からのマネジメント研修などの研修制度もなく、実践で自らの体験から学んだ知識でした。その学びも息子がいてくれたからこそ気づかせてくれた、この境遇で良かった、と自分でも思うようになりました。
2) 私のキャリアチェンジ私が、50歳を前にした時、ビジネスパーソン人生あと何年あるのかな?とふと考えるようになりました。その当時、私の中では、「キャリア」という言葉すら知らなかったのですが、あと5年後何をしているのだろうか?と思ったときに不安を感じだしたのです。本来、私は人前で話をするのが苦手で、どちらかというと親の性分を引継いだところもあり、職人的部分や後方で人の支援をする方が向いているのではないかと、自己分析をしてみたところ、これから営業職でいる自分の姿は想像出来なくなってきました。 そんな中、公私ともども悩んでいた時でもあり、ふと「カウンセリング」という文字が入ってきました。民間の心理カウンセラー養成講座に通いだしたのです。そこで前述の大学の先生のこと、また管理職で悩んだこと、経験してきたことを伝えたい、と思うようになりました。そして「人のサポートをすることを自分の最後の仕事にしよう」と決心しました。 当時、会社の人事部門には、育成や能力開発、また相談対応といった労務関連をする部署はありませんでした。そこで社長に直接「これからの会社で必要なこと、自分のやりたいこと」を直接伝えました。すぐに社長は了承して下さり、半年後、希望する人事部門に異動となったのです。
3) 会社の大きな変革その後、ちょうど期を同じくして会社に大きな変化がおきました。 人事部門でも大変革を行ったのですが、基本ポリシーとしては「個人が成長することにより会社も成長する」と人間中心の方針となりました。 □評価・報酬・等級制度従来も「評価⇒報酬⇒等級」という制度はありましたが、評価査定後の上司からのフィードバックもなく、報酬の決定は不明確で、賞与は社長から直接渡される、という独特な形でした。また等級定義も明確なものもなく、数字に見える定量的な結果が最優先という徹底した成果主義で、信賞必罰という考え方が基本でした。 □MBO(目標管理制度)上記の制度を支える柱として導入したのが、MBO(目標管理制度)です。ドラッガーが提唱した制度でもありますが、期首の初めに部下側が上位目標を基に「やるべきことを自分の言葉で発信する」というもので、自分自身がコミットメントすることで自己成長を助成する制度でもあります。当初は戸惑いもありましたが、今では比較的受け入れてもらえ、うまく運用はされているようには感じます。 □研修制度今まですべてがOJT(現場での実地指導)でした。「経験と勘で乗り切ってきた」という状態でしたが、良き「経験や勘」を継承していくためにもOFF-JTが必要と、研修体系を設計していきました。ビジネスパーソンとして必要な、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキル(概念的・論理的に考える能力)を棚卸し、不足部分は研修を通じて習得をしてうめるために「管理職研修」を実施し、また将来のキャリアビジョンを設計してもらうための「節目研修(45歳・50歳)」も毎年実施するようにしました。
4) 企業内キャリア・コンサルタントとしての実務そんな変革の中、社員にとっては、変わりゆく外的環境への対応を迫られている折、また内的環境の変化に順応していかねばならない状態で、「戸惑い、不安、不満・・・」といった声が様々な所から聞こえてきました。確かに、変革時にはこういった混乱は起きるだろうとは予想はしていましたが、私自身含め、社員である当事者としては結構大変な出来事の連続でした。 そこでその真只中にある人たちをどうサポートしていくことが人事部門として、制度を変え、運用をしていくと同じぐらい重要な課題となってきました。そこでスタートしたのが、「誕生月面談」でした。社員全員、誕生月に毎年、人事が面談を行うというものです。 以上最近の社内状況をご説明させていただきましたが、私自身、企業人として人事部に所属し、評価・報酬・等級などの制度運用、研修の設計・実施、また関連会社の人事全般、を業務として行っています。また企業内キャリア・コンサルタントとして、メンタルヘルス不調者 障害者、高年齢者、職場異動者、育休後復帰者、課題のある社員の対応・サポート等をしております。 さて次回は、上記の誕生月面談や日々の業務を通じて、見えてくる『組織で働く人々のキャリアの現状と課題』を具体的にお伝えしたいと考えております。
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