JAVADA情報マガジン3月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-
◆2015年3月号◆
キャリア・コンサルティング普及への取り組み~私の描く対人援助者の将来像~ |
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株式会社ASキャリア 代表取締役 瀬谷 俊宏 氏 《プロフィール》 |
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はじめにこれまで3回に渡って、私の実践経験からキャリア・コンサルティングの現状と普及のため課題について、述べさせて頂いたが、今回が最後の号になる。そこで、私の考えるキャリア・コンサルティングの将来のビジョンについて述べたい。これまでの号でも申し上げたが、私よりも多くの実践経験とキャリア・コンサルティングの造詣の深い読者の皆様やこれから実践経験を積んでいかれる読者の皆様が、私のような考えと取り組みをしていることを知って頂き、温かく見守って頂けると幸いである。
(1)私の課題 - これからのキャリア・コンサルティング業界のために -私は、この業界の30年先を見据えた時、現状のキャリア・コンサルタントの身分保障と雇用状況のままで果たして生き残っていけるのか?では、生き残って行くためには、私たちは何をすべきか?今、私が取り組んでいることは、主に20代・30代前半程の若い世代のキャリア・コンサルタントのために道を切り拓くことだと思う。今から彼らに、キャリア・コンサルティングの現場経験をさらに充実してもらうため、事例指導の機会を提供させて頂いたり、事例・研究発表等の舞台を提供させて頂いたりと少しずつ動き始めている。まだまだ私も自分に負荷をかけながら学んでいかなければならないが、私固有の経験を彼らに伝えていこうと思っている。そろそろ私は、自分の引退時期を見通し描き始めている。それが私の年齢に相応しい動き方であると思う。
(2)私の取り組み① - これからのキャリア・コンサルティング業界のために -第3回にも触れたが、私が開拓してきた舞台を若い世代のキャリア・コンサルタントのため、チャレンジの場を作ってきた。
写真上:厚生労働省委託事業 特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会
主催「キャリア・コンサルタント経験交流会 神戸」(2014.11.22)発表資料
出所:株式会社ASキャリア・鹿児島大学工学部化学生命工学科
写真上:厚生労働省委託事業 特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会
主催「キャリア・コンサルタント経験交流会 神戸」(2014.11.22)プログラム集
出所:特定非営利活動法人 キャリア・コンサルティング協議会
これらは、私が利益を上げることではなく、不測の業界がどのような状況であっても、何かに特化したキャリア・コンサルタントとして雇われたり、独立開業したりする高い能力とセンスを蓄積して行く準備が目的である。まさにこれからは、キャリア・コンサルティング業界の自然淘汰の時代がやってくると予測している。
写真上:公益財団法人関西カウンセリングセンター主催「キャリア・ビジネスコース」(2015.2.11)レジュメ表紙
出所:公益財団法人関西カウンセリングセンター seya ,asada
(3)私の取り組み② - これからのキャリア・コンサルティング業界のために -私の知る限りでは、キャリア・コンサルタントとしての自己実現へのビジョンを持っているだろうが、それを具現化することに至っておらず、ジレンマを抱えているキャリア・コンサルタントも多いと思う。動くか躊躇うか?動けば、やはり、それにはリスクが先立つのだと思う。しかし、長い人生の過程で、多くの失敗も、成長の糧になると思えば、それもまた味わい深いものではないだろうか。挑戦には山あり谷ありだと思うし、だからこそ面白いと思えるし、事始めの醍醐味でもあると思う。
写真左・下:国立大学法人鹿児島大学 郡元キャンパス
西門から工学部棟を望む風景 出所:株式会社ASキャリア 写真左:国立大学法人鹿児島大学 工学部化学生命工学科長 /JABEEプログラム責任者 肥後盛秀教授(写真中央)、同学科 満塩勝助教(写真右)、株式会社ASキャリア 取締役 浅田実果 -鹿児島の教育ルーツを求めて、桜島を背後に土着の歴史を辿る- 出所:株式会社ASキャリア
(4)終わりに私は、これまでのキャリア支援者としての半生を振り返った時、相談者が望む進路に向かえた時、「ありがとうございます」と言っていただくことがある。その言葉を有難く受け取りつつも、同時にその相談者への支援が本当に良かったのかを反芻してしまう。これまで述べさせて頂いたが、キャリア・コンサルタントの諸状況は、決して恵まれたものではないと思う。それでもキャリア・コンサルタントとしての訓練を受け続け現場を持たせて頂けたことは本当に恵まれていると思う。私は、地位や名声、お金のために、この機会を頂きたかったわけではない。相談者の方々から「ありがとうございます」と言って頂けることがあるが、その度に、私は自分に言い聞かせていることがある。「相談者はキャリア・コンサルタントという"プロフェッショナル(専門を極めるために努力し続けている信頼の証)"に対して、謝意を表明しているのだ」と。だからこそ、私はキャリア・コンサルタントという資格を背負って行くだけの信頼を得るためには、もっともっと努力をしていかなければならないのだと思う。このように私の信念と行動が(資格試験等の節目がなくても)、日々、支援者としての努力を積んでいける原動力になっていることを、4回の連載を綴りながら実は恵まれている仕事であることを再確認できた。
文献・写真出所
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