JAVADA情報マガジン2月号 フロントライン-キャリア開発の最前線-
◆2015年2月号◆
キャリア・コンサルティング普及への取り組み~私の描く対人援助者の将来像~ |
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株式会社ASキャリア 代表取締役 瀬谷 俊宏 氏 《プロフィール》 |
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はじめに先月号と今月号の2回に渡って、私の実践経験から考える「キャリア・コンサルティング普及のための課題」について、述べさせて頂きたいと思う。思いを同じくする取締役とともに設立した株式会社ASキャリア(以下、法人)の経緯については、先月号で述べさせて頂いた。今回は、その一部ではあるが、法人の取り組んでいることをご紹介させて頂き、読者の皆様が思うキャリア・コンサルティング業界の将来像について考えるきっかけになればと思う。また、私よりも多くの実践経験とキャリア・コンサルティングの造詣の深い読者の皆様やこれから実践経験を積んでいかれる読者の皆様が、私のような考えと取り組みをしていることを知って頂き温かく見守って頂けると幸いである。
(1)キャリア・コンサルティング業界の普及への思い法人は、同業他社にある、成熟した組織力と永年に渡る企業努力の成果へは足元にも及ばないところである。しかし、法人を通して出会った一人一人の方々を大切にする思いをどこまでも貫いていきたいと思っている。その方々は、(自身のことを披瀝しないが)私にさまざまなことを教えてくれる。特に印象的なところは、人としての魅力があり、キャリア・コンサルタントとしても努力し続けている姿である。このような方々に接していると、私は、もっともっと多くのことを学ぼうとするし、また、その方々ももっともっと学ぼうとする。キリがないがそういった相互の影響関係が法人を支えている。お互いが切磋琢磨し合う競争原理が働いてこそ、この業界の益々の普及になるように思う。
(2)キャリア・コンサルティング業界の普及への取り組み-キャリア・コンサルティングの定期勉強会-以前の私はそうであったが、キャリア・コンサルタントの資格取得自体を目標にして勉強に励んでいたころがあった。勿論、資格試験という節目があったからこそ、知識や技能を洗練するチャンスだったとも思っている。その資格取得は一定の知識と技能を担保しているだけであって、その後、継続して(自分の生活の一部として)、知識と技能の研鑽を続けることが技能の維持・向上にとって欠かせないにも関わらず、資格取得という一定の区切りがつくと、これまで読み耽ってきた書物等を開けることをやめてしまった。しかし、法人の勉強会に参加される方々は、その真逆であることに感服すると同時に、以前の私を恥ずかしく振り返っている。このような真摯な姿勢を持ち続けている方々と切磋琢磨し合うことは大変有意義なことである。 -全国キャリア支援フォーラム-フォーラムを当初から応援して頂いた関係団体には本当に感謝している。法人設立以来、毎年開催させて頂き、多くの方々にご協力とご賛同を頂いた。もともとフォーラムは、法人の思いが詰まっているものなので毎年開催していきたいと思っている。
-発達障障がいのある若者支援-このテーマは、キャリア支援者だけでなく多くの方々にとって関心のあるテーマの一つだと思う。しかし、キャリア支援の諸理論とアプローチだけでは、当事者へ充分行き届いた支援ができないジレンマも感じてきた。
(3)キャリア・コンサルティング普及のための別の視点これまで述べてきたのは、私のキャリア・コンサルティング業界についての視点である。ここでは、別の視点、すなわち、キャリア・コンサルティングを利用する方々の立場に立って、この業界を俯瞰することが大切だと思う。なぜなら、(少なくとも)私の取り組みは、どのように社会に役立っているのか?役立っていないのか?を怖がらずに検証しない限り、キャリア支援を必要とされる方々にとって良質な支援になっていかないと思うからである。
話は変わるが、キャリア・コンサルタントのための事例指導を受けることも職業倫理としては欠かせないと思う。キャリア・コンサルティング専門の事例指導者の充実が急務であるが、広く対人援助について信頼のおける師の指導を受けることでも良いと思う。それだけではなく、キャリア・コンサルタントの同僚や仲間とのグループスーパービジョンや事例検討でも良いと思う。その際に留意したいことは、メンバー同士が気兼ねなく必要なフィードバックを行える関係性が大切である。自己研鑽には痛みが伴うものである。メンバー同士の間で相互に「時には優しく、時には厳しく」という共通理解がないと事例提供者であるキャリア・コンサルタントの自己成長に繋がらないと思う。
文献・写真出所
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