新日本無線株式会社

創立 1959年(昭和34年9月8日)               

資本金 5,220,075,750円(2016年3月末現在)   

代表者 代表取締役社長 小倉 良                     

従業員数 (連結)2,667名 

(単独)1,324名 ※2016年3月期

売上高 (連結)47,816百万円 (単独)42,312百万円  ※2016年3月期                 

所在地  本社 〒103-8456 東京都中央区日本橋横山町3番10号
       

ホームページ http://www.njr.co.jp/                  

事業内容 電子デバイス製品、マイクロ波関連機器の開発・設計・製造および販売


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「それでは、キャリア・シフトチェンジのためのワークショップをはじめます」

インストラクターを務める津田さんが、優しいトーンで語りかけた。

職種や職位は異なるが、受講者は全員50代。

研修の目的は事前に資料を添えてメールで伝えていたが、なぜ今こんな研修をするのだろうという疑問の視線が、津田さんに向けられていた。

4つのグループに配置されたテーブルと座席。津田さんと受講者は顔見知りも多いが、改めてフランクな自己紹介をして距離を縮める。

その後、受講者同士の自己紹介や研修スケジュール案内などJAVADAが指定した標準プログラムどおりに進めていく。

しかし、最初のグループワークに入る前に、自社の再雇用制度や賃金体系について詳しい説明を行った。

先ずはこれから取り組むべきテーマが自分事なんだと意識してもらいたかったからだ。

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「従業員および組織の健康が全ての基盤」

2016年4月、新日本無線グループは、「ヘルシーカンパニー」を宣言した。

ヘルシーカンパニーとは、個人の健康と組織の健康が融合した姿であり、両者の健康の維持増進を図りながら成長戦略につなげようというものである。

この活動内容の一つに、「いきいきとした職場づくり活動」があった。

その時、人事部専門部長としてヘルシーカンパニーの具現化に向けた取り組みを行っていた津田さんは

学習院大学 今野 浩一郎教授(当時)が執筆した雑誌記事を見て、CSCワークショップを知った。

"シニアになっても活き活き働き続けるために"。

そこに書かれていた"活き活き"という言葉の一致に関心が高まり読み進めると、must(マスト)がしっかりしているプログラムであることがわかった。

従業員にやりたいことを聞くだけではだめだ。

組織で働く以上、自分に求められること、やらなくてはいけないことと一致させなくてはただの幻想にすぎない。

CSCワークショップは使えると判断した。


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津田さんは優しい口調で続ける。

――定年以降も活き活き働き続ける上で弊害となることは何でしょう?

――弊害をクリアするためには何が求められると思いますか?

――あなたはその弊害をクリアできそうですか?

どれも難題だが、ベテランガイドのように丁寧な説明を加え、各グループを回って個別にフォローをする。

「シニアになれば、自分の部下から評価を受けることになりますよ」

大切なことは、ぼやかさないでしっかり伝えた。

特に悩ましい自分がどういうシニアになりたいかというテーマには、津田さんが考えた具体例を提示するなど工夫をした。

全ては受講者のため。やがて訪れる現実を理解して受け入れるために必要だからとの考えだ。

それでも受講者によっては、プログラムにもどかしさを感じる人もいた。

現在、ほとんどの受講者が各部署の要職として多忙な日々を送っているため

どうしても研修に1日を費やすことより、目の前の課題に取り組むことに優先度を感じてしまう。

そんな一部の空気に対しても、津田さんは、切々とそれぞれのワークに時間をかける意味やみんなで話し合う大切さを説いていくのだった。

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パチパチパチパチ。

研修終了を告げる津田さんに対し、期せずして拍手が起こった。

これまで様々な研修を行ってきたが、受講者から拍手をもらったのははじめてだった。

「定年以降も働き続けることの意識が高まった」「社内価値の重要性がわかった」といった多くの好意的な感想が寄せられた。

また、研修前に「キャリアに関する相談をしたい」と言っていたのに

グループワークや自己診断を進める中で、自分で解決してしまった受講者もいた。

受講後の変化は、特に管理職層に感じると津田さんは言う。

元々フレンドリーな雰囲気を持つ自社だが、参加者同士が活発にプラットフォーム能力の必要性を語り合っていたのが印象的だった。

新日本無線では、2016年4月から再雇用者にも人事考課を入れた。

そしてその項目にはプラットフォーム能力の要件も加えている。

研修の内容を人事制度にも反映させることで研修を実施する整合性も高まる。

また、受講者へのフォローとして年間1回の社員意識調査でリマインドしていくことにした。

個人の健康と組織の健康を築き、維持していくためにこれからもCSCワークショップには期待したい。

その思いを込めて、津田さんは受講者全員にA4用紙1枚にまとめたプラットフォーム能力一覧表を配っている。

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