ものづくり基盤強化

職種紹介

究極の精度感覚が要求される繊細な技能。

今年の競技課題は、手仕上げ技能と組立調整技能に加えて、メカトロニクス技術とエアトロニクス技術が融合した、これまでにないほど複雑な動作を行う機械装置です。課題の名称は「オリフィス穴加工装置」で、樹脂製ワークに4工程で穴加工を行う自動加工装置です。装置に求められる動作機能は、まずワーク端面にセンタ穴を加工したのち、直径1.5mmのドリルで深さ3mmの穴をあけます。次に直径1.0mmのドリルで深さ6mmの穴をあけ、最後に面取りを施します。これらの複合動作を実現するために、本課題は2つの機能ユニットから構成されています。ユニットA はエア式ロータリーアクチュエータとマルティプルトランメルギヤ機構からなり、4本の工具を順次割出します。ユニットB は DCモータとエア式直動シリンダからなり、ワークの回転と前進・後退を行います。両ユニットの動作シーケンスとタイミングの制御には組込型 PICマイコンを採用しました。競技時間は7時間しかありませんので、ユニットA の主要部品を手仕上げ加工の対象としました。しかし、それでも加工面数は129面もあり、組立調整時間を差し引くと、選手は1面当たり平均3分弱の猛スピードでミクロン単位(0.001mm)の精度に部品を仕上げなければなりません。この正確で精緻な単品部品の加工技能に加えて、組立調整段階では、組立後の幾何学的な平行度、直角度、対称度、段差等がすべて±0.01mmの許容差に納まらなければなりません。要求仕様を満たすよう本装置を完成させるためには、熟練した加工技能のみならず、精密測定を繰り返しながらの繊細で慎重な組立調整技能が必要です。
第45回技能五輪 優秀作品
第45回技能五輪 優秀作品

競技のポイント

感覚を研ぎ澄まし、0.01mm以下の精緻に挑む。

"ものづくり"は人の技能が原点であり、それが失われつつある現在、この機械組立て職種は、ものづくりの基本要素を数多く含んだ競技です。図面から設計者の意図を読み取り、個々の部品寸法の狙いを定め、ミクロンオーダー単位の超高精度加工もすべて人の技で実現します。加工を終えた部品の寸法測定と確認をしながら組立て調整をし、動作させる。まさにこの競技の真骨頂がこの部分にあります。わずか7時間の中での、猛スピード、超高精度加工、組立てをする選手の姿は華麗に光り輝き、人々に感動を与えます。また選手が作り上げた製品は"これがヤスリ仕上げか"と思わせるほど美しく、精度感あふれる製品に仕上がります。

魅力

錬磨の手わざは、技能者としての誇り。

暮らしや産業に必要なあらゆる機械を構成する金属部品。その加工・組立てを支えるこの職種は、社会にとって不可欠です。しかもその技能は、どんなに表面がきれいでも、組み立てた部品が滑らかに動かなければ意味がありません。加工した部品の精度は測定具で測りますが、もっとも頼りになるのは手の感覚のみ。たゆみない技能の錬磨による0.01mm以下の精度感覚は、技能者としての誇りです。
第45回技能五輪大会競技風景
第45回技能五輪大会競技風景

将来性

ITが進んでも、社会の求める極微の技能。

この職種は企業の中ではトラブルシューティングの大切な役目を担っており、この技能者がいなければ機械が止まってしまいます。それはITが進むこれからの時代も同じで、社会を支える重要な職種といえます。最近は課題も国際大会や生産現場に則しており、挑戦者が年々増えているのは頼もしいかぎりです。

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