| キャリア形成推進マガジン フロントライン == キャリア開発の最前線 == |
◆ 2010年9月10日配信 ◆ |
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| 教育現場のキャリア・カウンセラーは・・・ === 楽しく学ぶ グループワーク === |
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| ソニー学園 湘北短期大学 キャリアサポート部 部長 近藤 章雄 《プロフィール》 |
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◆学生気質の変化と就職支援の困難さ 「就職留年7万9千人」就職が決まらず翌年に再び「新卒」として就職活動に臨む学生が急増している。卒業予定者数は56万8千人で、7人に1人は留年している計算になる(7月6日読売新聞「大学の実力調査」)。なぜ、卒業ができるのに就職活動のために留年までするのか? 卒業後、フリーター(アルバイト)として社会に出てしまうと、正社員として働くためには中途採用としての採用試験が待ち構えている。では、新卒採用と中途採用とはどこが違うのか。中途採用として採用されるためには現在もっているスキルが求められる。「今、あなたは何ができますか?」と問われるのである。反面、新卒採用は将来への投資として考えているので、現在のスキルよりは将来性、伸びしろを見極めることに重点がおかれている。そんなことから、新卒採用だけは、「仕事ができない人を採用する」と言われるほどである。企業にとって新卒採用は「人財」として、それだけの価値があるからである。しかし、就職活動をマニュアル化してしまっている学生は、就職活動で苦戦を強いられる。原因は、インターネットの普及により志望動機(企業研究)も「カット&ペースト」で済ましてしまう学生が増え、自分で考え行動することをしてこなかったことが考えられる。 このような学生気質の変化には、これまでのように学生を一堂に集めて行う従来型の就職ガイダンス(マスガイダンス)では、応じきれなくなった。マスガイダンスでは個々の学生に焦点を合わせるのか難しく、指導内容は総花的一般論にならざるを得ない。また、学生自身も、何をやりたいのかが明確になっていないことから、漠然とした就職情報の提供だけでは自分の職業人生に対する実感がわかず、将来像はまるで映画を見ているようにしか思えない。ガイダンスに参加した学生たちからは、「就職は大変だ!」と不安を煽られて、働くことを迫られているように感じているとの声がある。 このようなことから、学生一人ひとりに焦点を当てた個別相談が注目され、多くの大学で実施をされるようになってきた。就職相談は100人いれば100通りの人生があるので、一対一の個別相談はキャリア・カウンセリングそのものである。しかし、この個別カウンセリングにも限界がある。(1)相談時間の問題(1人あたりの時間)、(2)費用の問題(相談員の人数)。また、個別相談は、学生の受け止め方で評価が変わってくる。正解の無い悩み相談であるため、場合によっては学生の心の傷となってしまうことさえあり得る。したがって(3)「責任」の所在や(4)カウンセラーの「能力」をどう見極めるのか。大切な学生を預かる大学は、その責任を負わなければならない。安易に外部のキャリア・カウンセラーを登用することには多くの課題が残る。 |
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