「終身雇用の崩壊」、「転職の時代」などと言われるが、そのような時に登場するのは、若年層やどこの企業でも通用する専門的スキルを保有する人であることが多い。そのような人には、もともと転職に対する抵抗が少なく、またそれが比較的容易な人々が多いという特徴がある。それに対し経営管理層には、長期間の勤続を経てその地位に就いた中高年層が多いことから、定着的でまた転職も容易でないという特徴がある。しかし、経営管理層も転職と無縁ではないし、団塊の世代の定年年齢への到達などを考えると、今後、その増大も予想される。現実の経営管理層の転職はどうなっていて、それをより良い転職とするための条件は何だろうか。彼らの転職が増大する前に、明らかにすべき課題である。
このような関心から、私たちは昨年、この5年間に転職した経営管理層を対象に、転職についてのアンケート調査を実施した。今回は、その結果を紹介しよう。なお、この調査回答者のうち、通常の「転職」で移動した人は4割弱(276人)で、「出向転籍」で移動した人が約6割という構成であった。改めて、出向転籍という移動手段の重要性を痛感させられる結果だが、今回は転職者を中心に論じる。
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