「弱い紐帯(ちゅうたい)仮説」はあてはまるか
ところで、このような情報入手に関連する議論として、グラノヴェターという社会学者が唱えた「弱い紐帯仮説」が、注目されている。この仮説では、情報は、誰もが知っている場所にあって誰でも入手可能というものではなく、社会的なネットワークを通じて限定的に伝わるものとしている。そのネットワークの結びつき(紐帯)には強弱があり、いつも会う人たちとは強い紐帯で結ばれ、たまにしか会わない人たちとは弱い紐帯で結ばれていることになる。彼はアメリカの調査で、弱い紐帯を通じてもたらされた転職情報を活用すると転職がうまくいくという関係を見出し、この仮説を提唱した。
しかし、この仮説はきっかけを述べているのに過ぎないように思える。一般に「弱い紐帯」の範囲の方が「強い紐帯」の範囲より広いので、前者を活用すれば情報量は増加する。しかし、より正確なそれゆえ信頼できる良質の情報が、「弱い紐帯」から入手できるのかに関しては疑問である。
既述した分析の直接ルートの紐帯が、弱いのか強いのかは定かではない。しかし、いずれにしても、事前に直接転職先に接触し、良質な情報を獲得することが重要なことを、最後にもう一度指摘しておこう。
(本稿で用いた、アンケート調査の調査票と単純集計結果は、
http://www.kisc.meiji.ac.jp/%7Enaganosm/nagano/kekka.pdfを参照していただきたい。)
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