「目標管理」と聞くと、皆さんはどのように感じますか。
目標管理は、成果主義における「評価の方法」として考えられることが多いようです。成果主義の問題点が議論される中で、目標管理も批判的にイメージされ、悪役にされる場合もあります。しかしそれは、「ノルマ管理」として運営されているからです。
1.ノルマとストレス
ノルマを強制されるとストレスを強く感じますね。ここでは、別の観点から、ノルマとストレスを考えてみましょう。経営者、管理者、従業員など働く人たちは、厳しい経営環境の中で、ストレスを感じています。私たちはストレスを感じると、攻撃的になったり、防衛的になったりします。感情的になり、物事に正面から向き合わなくなるわけです。気持ちや考え方が乱暴、表面的になってしまうのです。
たとえば、経営者、管理者は、「目標」と称する「ノルマ」を部下に強制し、なんとしても達成するように命令します。実は、強制、命令は、経営のためという正義の鎧に形を変えた、相手のことを考えていない、「攻撃」の表現なのです。
一方、従業員は「現実への逃避」を行っているかもしれません。これは、ストレスを感じた時に、自分の心を守る(防衛する)ために行うことの一つの方法です。現実からの逃避ならばイメージしやすいですね。しかし、現実への逃避とは、目先のことで時間を過ごすことによって、本来取り組むべき課題と向き合うことをしない(しないですむ)心のあり方のことです。学生時代のことを思い出してください。明日、試験です。嫌いな勉強なので、今までサボっていました。今晩ぐらいは勉強しないと、ヤバイです。勉強しなければなりません。しかし、なぜか、部屋の掃除とか、洗濯とかがしたくなります(日頃はめったにしないのに)。隅々まできれいにして夜が明けて、結局肝心な勉強はすることができませんでした。あるいは、突然、試験勉強とはまったく関係のない本が読みたくなり、明け方まで読んでしまう。勉強なんかする時間はなくなってしまったのです。掃除、洗濯、あるいは、本を読む、という現実への逃避をしているのです。
強制、命令による目の前にあるノルマを追いかけることによって(これも、ものすごく忙しく、とても大変で、ひょっとすると過労死しそうなくらいですが)、本来取り組むべきことを考えないで過ごしているのです。本来取り組むべきこととは、自分にとって意義ある仕事、仕事を通しての自己実現を考えることです。これは、急にできることでもなく、自分と向き合うことですから、かなりエネルギーのいることでしょう。
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