キャリア ナウ  

2006年8月10日配信
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目標管理とキャリア発達を考える
【3】
日本大学 商学部 教授   外島 裕

3.目標と動機づけ
 確かに、動機づけを高め、維持するためには、目標は大切です。そのためには、三つ大切なポイントがあります。
  (1)「目標は具体的であること。」
    がんばろうといったものではなく、毎日10ページ勉強しよう、というものです。
  (2)「高い目標のほうがやる気が続く。」
    低いと達成してしまうと、そこで留まるが、高いと、まだまだと、長く工夫します。
  (3)「自分でやりたいと思っている、内発的な動機づけに基づいていること。」
    強制された目標ではなく、自分からやってみたい目標です。
 この目標は、努力すれば達成可能な高さの目標であることが必要です。そして、自ら立てた目標を達成することによって、自分ならできる、との自己効力感を深めることができるのです。すぐに達成できそうもない目標ならば、ステップごとの中間目標を立てることが必要となります。
 もう一つ、目標と動機づけとの関連を紹介しましょう。
 私たちの動機づけは、成功したいと思う気持ちと、失敗したら嫌だなと思う気持ちの差による、との考えがあります。たとえば、魅力的な異性に愛を告白する(赤いバラの花を渡す)動機づけは、どうしても愛をゲットしたい気持ちと、ふられたら嫌だなとの気持ちの、差によるのです。ゲットしたい気持ちが、ふられたら嫌だな、との気持ちよりも多い場合には、勇気を持ってバラの花を渡します。一方、ふられたら嫌だな、との気持ちのほうが多い場合には、もじもじして、結局バラをささげることはできないままです。この考えでは、動機づけが最も高くなるのは、成功と失敗の気持ちが半々の場合だとされています。自分がやる気になれば、なんとか成功しそうだからです。失敗しそうな気持ちが多い人の場合には、絶対失敗しないように、目標を下げます(すなわち、やる気が少ない)。 簡単な目標とすれば失敗はありません。でも、この簡単な目標ですら失敗したらどうでしょうか。失敗したら嫌だな、との気持ちに大きく傷がつきますね。なんと、失敗したら嫌だな、と多く思っている人の中には、絶対無理な目標を持つ人がいるのです。とても、とても、高い目標です。超高い目標は、とても動機づけが高いのではないでしょうか。それが、違うのです。だれも成功しそうにない、初めから不可能な目標ですから、失敗しても、それは、自分の失敗ではないのです。だれもできないのですから。したがって、失敗したら嫌だな、との気持ちが揺さぶられることはないのです。ヤケッパチの目標でしょうか。
 みなさんは、厳しい成果主義によって、社員を追い込んでしまい、成功を期待する気持ちよりも、失敗を恐れてしまう気持ちを増やしてはいないでしょうか。その上での、高い目標は、動機づけには繋がらないでしょう。

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