キャリア ナウ  

2006年8月10日配信
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目標管理とキャリア発達を考える
【4】
日本大学 商学部 教授   外島 裕

4.自己決定とキャリア開発
 組織の経営にとって、働く人一人ひとりの行動に対する自己決定、自律性、そして動機づけはとても大切です。前年度の仕事を振り返り、ここまで達成できたと、自己効力を感じ、そして今年度、自分は何を、どこまで、どのように達成したいのか。自分で仕事の目標を考え、自己決定していく。仕事を通しての自己実現を考えることになります。毎年の目標の積み重ねと自己効力の深まりが、将来に繋がる、すなわち、自分の人生にとっての仕事の意味を創っていくこととなるのです。
 内発的な動機づけを高めるためには、自己決定と熟達指向性が必要です。熟達指向性とは、スキルや知識を高めようとすることです。今までできなかったことや、知らなかったことが、できるようになり、わかれば、とても嬉しく感じ、やる気が高まるでしょう。目標管理では、業務の目標だけでなく、その目標を達成するために必要な、スキルや知識、問題解決の力など、能力開発の目標を立てることが不可欠となります。
 この目標を達成していく過程で、上司、先輩が、本人の可能性を信じて、励まし、フィードバックし、ノウハウを伝えていく。このような係わり合い、関係性を通して、本人は、上司、先輩を自分のキャリアモデルとしていく。
 経営学で目標管理を提唱したドラッカー、心理学で自己実現を位置づけたマズロー、これらをさらに具体化したY理論のマックレガー、このような先人たちの真摯な願いを、現在の私たちは真剣に受け止めるべきでしょう。それは経営環境がますます厳しくなるからこそ、社員一人ひとりの能力開発と、それに基づくキャリア発達と、そして、組織の発展を本気で行わないとならないからなのです。 (理屈はそうかもしれないが、現実はそのような甘いこと言ってられないよ、との声が聞こえてきそうです。もう一度強調しておきましょう。強制や命令は、厳しい運営ではありません。その場しのぎのストレス反応なのです。ご自分の仕事の意味を、大切な仲間の仕事の意味を、しっかりと向き合って考えてみてください。


9月号は神戸大学の平野先生に執筆をお願いしています。
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