キャリア ナウ  

2005年4月10日配信
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変化する企業の経営戦略と人材育成
【6】  
目白大学 経営学部・大学院経営学研究科 教授   森田 一寿
中小企業は大企業の出向・転籍先
 日本の経済構造は二重構造によって支えられていると言われるが、その関係は変化しつつある。中小企業は大企業の下請け的仕事で、大企業依存型だといわれる。また、大企業の雇用調整の一つの受け皿として、当然のこととして出向・転籍がある。それは従業員1,000人以上の大企業に多く見られたもので、系列会社・中小企業を受け入れ側として展開された。その受け入れ理由を見ると、積極的な理由として、「現在の事業拡大」「高度な知識・技術が活用できる」「組織の活性化」などもあるが、一方において取引上の中小企業の弱さを示す理由も挙げられている。例えば「今後の取引に影響」「やむを得ず受け入れた」などである。
 ここで問題になるのは、職種に合わないミスマッチの問題と外からの人材が活躍できる風土を持たない組織風土の問題である。中小企業は、人力に頼る作業が多いということもあり、人手不足は深刻であるが、大企業からの転籍受け入れやハローワークや人材派遣会社からの再就職先としての受け入れが必ずしもうまくいっていない。そこには知識・能力より、パーソナリティの問題が大きい。
 中小企業のミスマッチを是正し、過不足感を解消すること難しいだろう。やはり、大企業やニュービジネスに労働力を吸収されてしまい、中小企業にとって、人手不足は半永久的に続くことになるだろう。
 ではどうしたらよいか、就職条件や福利厚生施設の改善、企業のイメージアップなどによって人の採れる企業にすることも大切であるが、ムードの良い職場、やりがいのある仕事で退職者を出さないことが大切である。会社の組織風土や発展性、そして、組織人にとって夢のある組織にすることこそが大切である。
 組織や人事で生き生きとした企業なら定着率も良いし、人が育つので、人手不足の解消に重要な施策になる。大企業の翼下で、ものづくりの基盤を支えてきた中小企業は産業界の中で新たな役割を担うように期待されている。それは大企業依存型からの脱皮であり、独自の組織体としての活力を持つことである。中小企業の強味はものづくりの現場をもっていることである。21世紀ビジョンでは発想力を持つ個人が組織の源泉であると指摘している。そこには個を活かすマネジメントとそれを支える人材開発が求められているのである。
 次回は 成果主義と能力開発、個とチーム、個人の自立と支援など具体的な問題を考えてみたい。

☆森田先生には、次号についてもご執筆をお願いしています。 ☆
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