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キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】
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2011年1月10日配信
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=== 企業におけるメンタルヘルスについて ===
   【第二回】メンタルヘルスとキャリアの関連性
【1】
神田東クリニック MPSセンター 臨床心理士 GCDFキャリアカウンセラー 大庭 さよ 《プロフィール》
 メンタルヘルスとキャリアの関連性と考える時、2つの方向性が考えられる。1つはキャリアに関する問題がストレス原因となり、メンタルヘルスを悪化させる場合である。もう一つは、メンタルヘルスの悪化に伴い、キャリアに関する問題を考えざるを得ない場合である。

<キャリアに関する問題とは>
  それぞれの方向性について見ていく前に、キャリアに関する問題とは何を表わすのか、ということについて明確にしておきたい。
 キャリアに関する問題はマッチングに関するものとライフキャリアに関するものに分けられる。マッチングの問題とは、「不本意な配置転換により自分には向いていない職務についた」「会社の方針が変わり自分の能力を発揮できない」といった個人特性と仕事特性のミスマッチからくる問題のことである。

 ライフキャリアに関する問題は、役割と時間軸の視点からとらえられる。キャリアを役割と時間軸の視点からとらえるアプローチはスーパーによって提唱され(Super,1980)、ライフスパン・ライフスペースアプローチと呼ばれる。このアプローチでは、生涯を通じたキャリアにおいて個人が有している役割がどのように変化し、役割間の相互作用はどのようになっていくのか、に焦点をあてている。

 ライフスペースとは、個人が置かれている状況的側面に注目した概念であり、社会的な立場や担っている役割を指している。その役割とは、子供、学生、趣味人、市民、労働者、家庭人であるが、個人内のこれらの役割は相互に影響を及ぼし合っている。ライフスパンとは、ライフスペースにおける役割(特に仕事役割)を選択し、その役割に適応していく発達的なプロセスに焦点をあてた概念である。

 そこでは、ライフステージごとの発達課題が想定されている。例えば、「管理職に昇進したがうまくこなせない」といった問題は、職業人としての役割の問題であると同時に自分で動く世代から部下をマネジメントし育成する世代への時間軸による役割変化の問題としてとらえることができる。また、子供が生まれたり、親が介護を必要とするようになったりといった家庭内の変化によって、職業人としての役割と家庭人としての役割のバランスが変化し、そのバランスを再設定する必要が生じた場合もライフキャリアの問題といえる。

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