キャリア形成推進マガジン
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2011年2月10日配信
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キャリア・アダプタビリティ
【1】
 ナチュラルウィル有限会社 取締役社長 石川 邦子 《プロフィール》

 いもので、このフロントラインを担当させていただき、今回で4回目となります。
 前回は「中年期のキャリア支援」に関して企業での導入事例をご紹介させていただきました。
 初回より中年期を対象にしたキャリアについて、自分自身の経験を織り交ぜながら進めてまいりました。中年期に起こる様々な変化と、それによって影響を受ける心もよう、それらをどのように捉えられるかで、さらに豊かな人生(キャリア)を過ごしていけるのだと思います。

 は、この豊かな人生を歩むためのひとつの鍵は「キャリア・アダプタビリティ」ではないかと考えています。「キャリア・アダプタビリティ」という概念はスーパーが提唱し、この研究をマーク・サビカスが引き継ぎ、キャリア構築理論の中に中核概念として取り入れたものです。アダプタビリティとは適応できる、順応できるという意味です。キャリアを切り拓いていくためには、変化する役割に直面したときに、その変化を受け入れて、適応できる能力というのが必要です。たとえば、「自らが変わることによって適切な状況をつくる」、「目的を持って変化する」、「個人と環境の相互作用によって変わる」ということです。サビカスの理論について、また「キャリア・アダプタビリティ」について詳しくお知りになりたい方は、『新版キャリアの心理学』をご参照ください。

 の「キャリア・アダプタビリティ」に関して、先日友人から聴いた話をご紹介させていただきます。ある一流企業で管理職だった男性が定年退職後、フランチャイジーとしてコンビニのオーナーになりました。大手のコンビニにはスーパーバイザーがいて、その店舗の売上が上がるように、色々アドバイスをくれます。しかし、その男性の担当スーパーバイザーは30代前半の社員で、様々な修羅場を経験してきた男性からすると「こんな若造」なのです。表面上柔軟に受け答えしながらも、心の中では「バカバカしい、商売のことを今さらアドバイスされる必要はない」と考えていたそうです。しかし、その若造の一生懸命さとデータに裏打ちされたアドバイスに、少し心を動かされて試してみたら上手くいったのです。たとえば、ちゃっちい(安っぽい?貧粗?という意味の大阪弁)POPを作ってつけるように言われ、「こんなもので売れるか?」と思いながらやってみると、本当に売れるのです。今ではこの男性は「日々新しい発見があり、再雇用の道を蹴ってコンビニ経営を始めてよかった。毎日が充実している。」とおっしゃっているそうです。

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