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とうとう今回が最終回となってしまいました。
中年期の課題に対して、さまざまな観点から私なりの考えを述べさせていただきましたが、何かお役に立てたことはあったでしょうか?
退職後の人生の集大成として、今年はまた本を書いてみようと思っています。そのため、過去の経験を振り返る時間が最近多くあり、今さらながらに気づいたことがあります。それは、私の働く上でのモチベーションは「人に必要とされているか」だということです。年収でも地位でもなく、相手に必要とされるように努力し、必要とされた時に達成感が得られるのです。
組織心理学者として世界的に高名なエドガー H. シャイン博士 は、「キャリア・アンカー」を提唱しました。「キャリア・アンカー」は、キャリアに関する自分自身の志向や価値観、得手・不得手、好き嫌いなどについての自己認識であり、キャリアに関する「セルフイメージ(自己概念)」だとも言えます。具体的には、(1)専門・職能別、(2)全般管理、(3)自律・独立、(4)保障・安定、(5)起業家的創造性、(6)奉仕・社会貢献、(7)純粋な挑戦、(8)生活様式、の8つの種類に分類され、自分のキャリアを選択する際に絶対に譲りたくない「大切なこと」であると言われています。
この「キャリア・アンカー」を自己診断すると、私の場合は、「自律・独立」が一番高く、次いで「奉仕・社会貢献」の順になります。「自律・独立」は、私にとって確かに大切なものではあるのですが、しかし、一番目であることになんとなくしっくりこないものを感じていていました。例えば、裁量度が低くなるとストレスを感じることや、自律した環境で働きたいとは思っていますが、それが満たされた時、本当に満足できているかと言うと、必ずしもそうではないのです。そういう意味では、2番目に出てくる「奉仕・社会貢献」が私の「キャリア・アンカー」なのかもしれません。
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