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<なぜ組織がメンタルヘルス対策に取り組むのか>
ここまで見てきたように労働者のメンタルヘルスの状況は悪化しており、労働者にとってはメンタルヘルス対策が重要であることは明らかであるが、組織にとってはどのような意義があるのだろうか。島によれば、組織にとってのメンタルヘルス対策の意義は次の4点に集約されるという。
| *コンプライアンスの観点から |
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労働安全衛生法を遵守するため。2006年の労働安全衛生法改正では、過重労働、メンタルヘルス対策の充実強化が図られた。 |
| *リスクマネジメントの観点から |
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リーガルリスク(民事訴訟、労災)、コストリスク(労働力損失)を避けるため。 |
| *企業の社会的責任(CSR)の観点から |
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ステークホルダーの重要な部分を占めている社員を大事にするため。 |
| *経営戦略の観点から |
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メンタルヘルス問題によるロスをいかに減らすかということだけでなく、良い人材を確保し、社員がモチベーションを持って働くことで、結果的に生産性を上げるため。 |
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※〔引用・参考文献〕 島 悟 「メンタルヘルス入門」(日経文庫/2007年)
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筆者が、組織からメンタルヘルスの相談を受ける中では、組織のメンタルヘルスに対する意識、対策の成熟度によって、上記の観点の重み付けが異なってくるように感じている。すなわち、まずは初期段階としては、コンプライアンス、リスクマネジメントの観点への重み付けが高いものの、ある程度メンタルヘルス対策が進み浸透してくると、企業の社会的責任、経営戦略の観点からメンタルヘルス対策に取り組もうとするようになってくる。特に最近においては、若年層の不適応の問題がクローズアップされるにつれ、人材育成の視点からメンタルヘルス対策を考える必要が強まってきているように思われる。そこで、次回は、メンタルヘルスとキャリアの関連性について述べていくこととしたい。
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