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キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】
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2010年9月10日配信
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能力本位の労働市場に向けて
   === 職業能力評価基準の必要性 ===
【1】
厚生労働省奈良労働局 総務部長 金谷 雅也 《プロフィール》
1 働き方の変化と職業能力評価

 日本では内部労働市場が発達しているのに対して、外部労働市場は未発達と言われます。これは、我が国では長期雇用慣行があったことから企業間の労働力移動が活発に行われてこなかったことを指しています。しかしながら、バブルの崩壊後、企業が派遣社員や契約社員といったいわゆる「非正規労働者」(彼ら/彼女らは、複数の企業を経験することが多いと思われます。)を積極的に活用することとなりましたし、労働者の側でもよりよい労働条件を求めて転職していくことが増えているようです(例えば、海外に留学してMBA取得を目指す人などはその典型といえるのではないでしょうか。)。
 労働者がそのキャリア形成にあたり複数の職場を経験することが増えるにつれて、企業がその労働者の職業能力をいかに評価するかが、今後大きな課題となってきます。労働者の中途採用を行うならば、その人の能力に見合った労働条件を提示し適切なポストに配置する必要があるからです。また、企業が年功序列や年功賃金が見直すならば、労働者の方のあげた業績や有する職業能力に基づいて新たに賃金などを決めることになるのでしょう。労働者の職業能力に応じて労働条件を決定するならば、職業能力を公平に評価して労働者の納得性を高めることが必要となってきます。

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