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2010年7月10日配信
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企業におけるキャリア・アップの重要性(2)
【1】
高橋ヒューマン・スキル研究所 主宰 心理カウンセラー 高橋 正幸 《プロフィール》
協調性の欠如をカバーする

  製品の品質や事務・作業の流れ等一つひとつの歯車がすべて噛み合って、はじめて企業として利益をあげ経営していくことができるが、長期的に見た場合、それは社員一人ひとりのキャリア開発から生まれてくる。
 近年、社員の昇進・昇給に、個人の年間業務目標の達成度合いを導入している企業が多くなってきており、それが個々のキャリア開発につながってきていることは喜ばしいことである。
 反面、その個人評価は組織活性化の重要な要素である「協調性」に水を差しかねない短所をもっていることも無視できない。

 特に最近の若者たちには、兄弟・姉妹が少ない家庭に育ち、インターネットやケータイに囲まれた生活の中で成長してきた人が増えている。こうしたこともあり、若者たちのヒューマンスキルは、以前に比べて稚拙で、単に職場だけでなく、日常生活でも友達が少なく、個人行動が目立ってきているようである。

 また、ほとんどの人たちが、仲間と一つのテーマについて話し合う場合でも、火花を散らすような激論を交わして結論を出していく経験に乏しいようである。それは、自分自身に哲学や確固たるポリシーがないことや、激論が人間関係を破壊すると錯覚して、相手や同僚から嫌われるのをおそれるあまり、自分の本音を言わずに過ごしてきている習慣から生まれてきているように思われる。

 お互いの哲学や職務理論の飛び交う激論の場が不完全燃焼では、組織の一員としての個人の向上や、組織の活性化は図れない。

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