企業環境の変化と問題点
近年の世界的な不況の中、ギリシャの財政破綻を発端としたEU、並びに世界全体の景気低迷はグローバル化した日本にも大きく影響を及ぼしている。
今年3月期の決算状況を見ても、一部企業に多少の回復傾向はみられるものの、全体的にみるとデフレを反映して景気停滞を実感させる状況が伺われる。国際競争力や一人当たりの国内総生産(GDP)は1990年前半では世界のトップ・クラスだったが昨今は20位クラスまで堕ちてしまっている。
人口推移では2005年からの減少傾向が依然として続き、その減少速度は世界最速ともいわれている。出生率の低下とあいまって、医薬の進歩や食住生活の改善による高齢化は20%を超え、日本の生産年齢人口は96年から想像を絶する速さで減少傾向に転じさせており、今後もこの傾向は続くとみられている。
また、国民一人ひとりの意識は、第二次世界大戦後の厳しい状況の中でエコノミック・アニマルといわれるほど働いてその危機を乗り越えてきた精神を忘れ去ってしまった。そして近年雨後の筍のように乱立した大学はさほど勉強しなくても入れるようになり、キャンパス生活では、一部の学生は別として、多くの学生は社会に出てから自分の自己実現の欲求を満たすような高度な職業意識をもつことよりも、その後の人生をいかに安穏に暮らすかに重点が置かれてきた。
その延長線上で今春のように氷河期を再現させるような就職戦線に直面すると戸惑い、自分が頭に描いてきた企業や職種を選べず不本意ながら、とりあえず就職できる職種に就き、夢とは離れた現実に夢や希望もなくただ生活のためにのみ毎日を過ごす、あるいは非正社員の働き場所につく。
当然日常業務に対する研究心や問題発見・解決の姿勢は生まれてこず、入社3年以内で自主退職するか景気の変動で企業を解雇されてしまう人達がいかに多いことか。それは単に就職した当人のみでなく、企業にとっても大きな損失である。
上記のような状況を考えると企業側の問題点が見えてくる。
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