| 1 高齢労働力の不活用 |
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人的なコスト削減のため、旧態依然として男女の区別なく定年制をしいている企業が散見される。確かに年功序列型の日本的給与体系から賞与、退職金、福利厚生費を含めて考えてみると膨大なコスト増に繋がるであろう。
しかし、それに見合うだけの社員の育成システム、教育訓練体制を備え、社員一人ひとりの成長を企業としても願う姿勢があればよいが、とりわけ中小企業においては整備が遅れ、社員自身が自分で日常業務の中から技能・知識を身につけるものと考えて、社員の教育訓練要員の配置をしない企業はまさに安岡正篤の言う考察の3原則のひとつ、「目先にとらわれず、長い目で見る」視点に欠けているのではないだろうか。それは経験豊富で貴重な財産でもある老練熟練社員をミスミス失ってしまうことになる。 |
| 2 育児期の女性労働の不活用 |
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一時期程ではないが処遇面で女性労働力を軽視している企業がまだ散見される。それはその企業だけでなく、日本経済にとっても大きな損失である。
年度替りの今春、心理カウンセラーとしての私のところに相談にきた女性もそういう一人であった。話を聞いている内に、その人がこれまでに社員教育も受けて職務遂行能力も身についており、大切な職務に携わっていることがわかった。
カウンセリングを続けていくなかで、その人自身やご主人、また、勤務先にとっても仕事を続けることがプラスになることを理解して、その結果、子供を託児所に預けながら職務を継続している。それはその人だけにとっての良いことでなく、人的財産を失わずに済んだ企業にとっても大変良いことである。その人は、企業において今後も大きな戦力となって活躍するであろう。 |
| 3 社員の多様性不足(ダイバーシティの不足) |
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以前、中堅の建築会社が大学生のアルバイトを雇ったことが新聞に載っていた。彼らの職務は次のとおりである。与えられたテーマについて「自分がそのテーマに関わる職務についたらこういう方法で問題解決をするか」を、自分のその時の考えで、360度の角度から枠にとらわれない発想(ブレーン・ストーミング)形式で発表してもらうことであった。多種多様な発想を活かそうとするその会社は、その後順調に業績を伸ばした。しかし、就職・採用市場を見てみると、企業によっては、人材の多様化とは異なり、応募できる学生の学部を制限している企業が少なくないことは非常に残念なことである。 |
グローバルな企業間の競争が展開されている昨今、これらの問題点をないがしろにしている企業はいずれ排除されてゆく運命にあるようである。そのような衰退の道をたどらないためにも、一人ひとりの社員のキャリア開発は喫緊の課題である。
企業としてはどのようなキャリア開発をして企業の体力をつけていけばよいのであろうか。次回は「キャリア開発とコンサルティングの心構え」について述べることにする。