キャリア形成推進マガジン
フロントライン == キャリア開発の最前線 ==

2010年12月10日配信
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中年期の発達課題とキャリアの再構築
【1】
 ナチュラルウィル有限会社 取締役社長 石川 邦子 《プロフィール》

 回は企業内での取り組みの前に、まず「中年期の危機」について、掘り下げて考えていきたいと思います。

 レビンソンは、人生のライフサイクルを四季にたとえて、成人までは「春」、成人になってからは「夏」、中年期は「秋」、老年期を「冬」としました。そこからきているのか、子供から大人になる時期を「思春期」というように、身体の変化によって老いを感じ始め、それにともなって精神的にも不安定になってくる40歳以降の時期を「思秋期」と言ったりします。中年期になってくると色々な変化がおこってくるのです。

 場では、これまで最前線で働いていた立場から上司や管理職といった役割に変わる、人に教わる立場から人を教えたり指導したりする役割に転換を求められるなどの変化が訪れます。役割が変わらなくても、仕事上の自分の能力や地位の限界も見えはじめたり、組織の中での有限性を感じはじめたりして、定年までの年数を数えたりします。私自身も退職を考えた2000年に、現場から離れた役割に変わることになり、「現場でやりたい」という気持ちが強くあったため、自分自身本当にこれでいいのかと悩み始めました。それまで定年を意識することなどなかったのが、悩んだとき「あと何年働くんだろう?」という逆算をしました。

 た、家庭でも変化が訪れます。子供が思春期に入り、子供の自立(友達などのつきあい優先)などから、子供中心の生活から「子供は子供」、「親は親」というように生活が変化します。また、老いた親の介護が必要になったり、夫婦関係にも変化がおこったり、家庭の中の役割に様々な変化が起こるのも中年期なのです。

 らに、身体的な変化もあります。体力に限界を感じる、疲労回復に時間がかかる、健康に関心が増す、生活習慣病が起こりやすくなる。女性の場合は、更年期や閉経などの生理的な変化などもあります。具体的には、最近、字が読みにくい、白髪が目立つようになったなど、いやおうなしに老いを感じさせられることが増えてきます。人間誰でも避けては通れないものです。

 れら様々な変化を経験することで、心理的にも戸惑いや迷いがでてきます。「私の人生はこれでよかったのか」など自分の生き方について見直しを迫られたり、自己対峙が始まったりします。「まだまだやれる」という思いと「もう若くはない」という思いの狭間で揺れうごくのです。

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