キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2009年11月10日配信
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「能力の評価・開発とキャリア」(3)
【3】
専修大学 経営学部 教授  廣石 忠司
3.組織のキャリアマネジメント力
 以上のように述べたものの、組織内に優秀な管理職ばかりがそろっているわけではないことは前回も述べた。「優秀な」者を育てる、もしくは見いだすことは時間もかかるし、容易なことではない。そのように考えると「優秀でない」管理職の下についてしまった部下のキャリアはどう考えるべきか、を検討した方が合理的ともいえる。埋まっている人材をどう掘り起こすか。
 一つは社内FA制度なり社内公募制度を活用することであろう。何らかの理由で空いたポスト、新設されたポストに手をあげさせるのである。もう一つは常に「埋もれた人材」はいないかウォッチするシステムを作ることである。後者の例でいえば、ある企業は人事部とは別に役員を中心とした人材開発委員会を設け、自分の担当していない部署を回って社員に今後のキャリアデザインについてインタビューするというシステムを構築した。「自分の担当していない部署」というのがミソである。直接のライン上の上司に自由に意見を述べると言うことはしにくい。評価に直結するかもしれないというおそれを感じるからである。その結果を委員会に持ち帰り、社長はじめ全役員、主要部長のいるところで一人一人の今後のキャリアを考えるという。うまくいけばとても良いシステムではあるが、時間と手間が大変にかかる。
 そして、ジョブローテーションも有効な策であろう。無能な管理職の下についたとしても、数年でどちらかが異動する。その結果多数の目にさらされ、その中には「優秀な」管理職も存在するだろう。その出会いは重要なポイントである。しかし、これにも問題がある。管理職は前任者の評価(制度上の人事考課に限らない)に引きずられがちだという点である。前任者の評価とあまりはずれた評価は出しにくいという声はよく聞かれる。
 一方で、「なぜ君はこんな低い評価だったのか」といわれたということもある。多くの部下に見当違いの評価を下していたら、たしかにその管理職の評価能力が問われることになる。こうして無能な管理職が徐々に排斥され、部下に適切な指導ができる優秀な管理職が多くを占めるようになると、組織としてのキャリアマネジメント力がついてきたということがいえるであろう。

4.結語
 能力の開発とキャリアというテーマで3回にわたり議論を行ってきた。大きなテーマなのであちこち話が飛んでしまった感は筆者としても否めない。簡単にいえば「育ちたい社員」がいて、それを「うまく育てる管理職」がいる組織が健康な組織なのである。こうした健康な組織をどう作るか。それが20年後、30年後の会社発展の鍵なのである。

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