1.キャリアに関する能力評価者
前回、職能資格制度等の人事制度運用における能力評価とキャリア開発に関する能力評価は異なるものであってよいと述べた。問題は"キャリアに関する能力を誰が評価するのか"という点である。
評価者の評価能力向上は一般的にいって極めて難しい問題である。部下の実績や結果を判断するのは極論すれば誰でもできる。しかしながら部下(後輩)の能力はどこが欠けていて、それを埋めるべく指導するのか、それより強い面をより強化させるのか、何を目標とさせるのか、そしてどうやって育てるのかといった点の分析は単なるOJTでは身につかない。上司本人の資質といってしまえばそれで終わってしまうが、そうそう多くの人数がこのような評価能力を身につけているわけではない。スポーツでも名選手がすなわち名コーチ、名監督とは限らないことも、本人の実績と部下のキャリアマネジメント力(適当な用語がないので、このように述べておく)とは異なることをよく示している。当然部下のキャリアアップに必要なのは、こうした分析に基づく評価・指導ができる上司である。キャリアマネジメント力のない上司の下についた部下は悲劇としか言いようがない。
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