キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2009年10月10日配信
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「能力の評価・開発とキャリア」(2)
【3】
専修大学 経営学部 教授  廣石 忠司
3.管理職のキャリアマネジメント力のサポート
 キャリアマネジメント力はつまるところ、本人が考えるキャリアプランと会社(もしくは第三者)のとらえたキャリアプランとを一致させるところにある。上述した異動なども客観的なデータを示さないと本人は納得できない。能力評価はその客観的な指標たり得る。
 管理職たる者にはこの「キャリア」を見据えた能力評価が必要だが、評価には主観が入らざるを得ないのは前回述べたとおりである。そこで本人の意思と異なるキャリアを勧めるために必要となるのはコーチングの技術であり、メンターの活用である。
 コーチングの技術的な側面は他の書物などにまかせるが、「このままだと(本人の希望通りのキャリアを進むと)どうなるか」を述べ、長所、短所を指摘した上で、「さらにふさわしいのはこちらの方ではないか。とりあえずチャレンジしたらどうだ」と説得することになる。本人がその気にならないといくら説得しても反発するだけである。このままではうまくいかないと、どう「気づかせる」か。それがポイントとなる。管理職研修の一環としてコーチングはキャリアマネジメント力強化のために是非必要な項目だと筆者は考えるが、いかがだろうか。
 管理職(上司)本人だけでは荷が重いなら、メンターの活用も考えるべきである。最近はメンターを制度として設けている企業もあるが、基本的には「相談相手」ということである。以前の上司、先輩、同僚など本人が信頼する第三者からの意見は本人も聞きやすい。ただ、この場合には上司がメンターと意見交換できる間柄になっていることが必要となる。

4.管理職の強化
 このように適材適所といい、キャリアプランといっても、管理職(上司)のキャリアマネジメント力が常に問題となってくる。どうすればこの能力を評価する能力が高まるのか。一般的には考課者訓練が行われているが、ビデオを見せて、正解はこうだ、というタイプの考課者訓練は効果が上がらないことも多い。実態とは乖離している場合が多いからである。現実的には複数で評価することが一番であろう。いわゆる360度考課とはいかなくとも、部長と課長(役職にはこだわらない。当該部下の上位者なら誰でもよい。三名以上でも全くかまわない)が一緒に部下を一人ずつ判断していくだけでも意味がある。

 次回はこのテーマの最終回として、コンセプチュアルスキルの向上とキャリアについて考えてみたい。

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