3.評価項目の違い
このように述べると、職務によって評価項目が違ってくるという意見もでてくるであろう。営業と管理部門、管理部門の中でも人事と経理とでは項目が異なってくる。業績評価ではやむを得ないが、能力評価において項目が違ってよいのか、という疑問である。これは職能資格制度を採用した場合、制度の根本に関わる問題となる。
筆者は本人のキャリアを考えた場合の能力評価は個人ごとに変わってしかるべきだと考えている。職務も本人のキャリアプランも個人ごとに異なるからである。同じ営業でも新規開拓の場合の営業方法と、長いつきあいの取引先との営業方法は違って当然であるし、営業中心に育てていきたいと考える場合と、本来は他の分野で活用したい人材に勉強のため営業で勤務させている場合とではおのずから着眼点も異なってくるはずである。するとOJTとどこが違うのか。OJTの結果が「できた」「できない」という評価に直結すると考えれば、両者は一体のものととらえてもよいのではなかろうか。ただ、OJTにおいて中間点で報告を求め、改善点を指摘し、結果の評価をきちんと本人に伝えているOJT指導者がどの程度存在しているか、疑問の余地は大いにあるが。
こう考えるとキャリアアップのための能力評価と、職能資格制度運用の前提としての人事考課のための能力評価とは、位置づけも実行の形式も異なるのが当然といえよう。人事考課のための能力評価は公平性を重視するが、キャリアのための能力評価は極端に言えば公平性は無視して個人の能力の伸長度に着目するからである。そもそも職能資格制度は「全社員の能力を絶対的基準で客観的に測定することができる」という擬制の上に成り立っている。その前提が異なる以上、キャリアにおける能力評価と職能資格制度との関係は切り離して考えるべきことになる。
さて、次回はこのことを前提としてキャリアプランと能力評価の関係について考えてみたい。 |