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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2009年9月10日配信
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就職活動は実践的キャリア教育、体験を言語化することから始まる
【1】
 キャリアカウンセラー 小板橋 孝雄 《プロフィール》
 「自ら動いて見えてくる自分がある。」「やりたいことが分からなくても何かあると思って一歩踏み出してみたら・・・。」「インターネットや携帯の情報も大事だけれど情報は自分の足で・・・。」
 月初旬、就職活動を終えた数人の2年生が1年生に囲まれて質問に答えています。厳しい就職戦線を乗り越えた喜びや自信が、言葉や仕草のなかに自然と顔を覗かせます。冷静さを装い先輩らしく落ち着いて話そうとしていますが、時々それらが見え隠れする姿に思わず笑ってしまいます。「よくこんなことが言えるようになった・・・。」
 月下旬、後期試験が終わってまもなく彼女たちが個別相談に訪れました。「早く決まるならどんな会社でもいいから紹介してください」弱々しい低いトーンで発した最初の言葉。求人を自ら探さずまるで他人事のように紹介を請うのです。こんな学生が最近増えていますが、「まずは実際に体験を」と要望どおり早く説明会が開催される企業の情報を提供しました。一人で参加するのが怖いと不安な目をする学生には、友達と一緒に行くことを促します。行動に移したら必ず報告することを約束して・・・。
 うして彼女たちへの支援が始まりました。自己効力感が希薄で一歩踏み出す力も感じられない学生に最初から自ら動けといっても難しいのが現実です。キャリア関連の授業や就職講座で描いたキャリアビジョンや目標を意識して就職活動を進めていくことはどこか無理があると感じてしまいます。夢もビジョンもいらない。学生と私の合言葉は「とりあえず動く・・」。行動して考え体験を言葉にする。それを繰り返すなかで変化することを願います。
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