<仕事を通じた学習の機会>
仕事はいうまでもなく需要と供給の関係で成り立つ。年々キャリア支援サービスに携わる者が生まれ、団体組織や体制が整いつつあるのに対して、企業における従業員のキャリア支援に関わるコンサルテーションの需要はそれと均衡していない。潜在的需要は少なくともあるはずだが、実際は積極的なのは一部の企業のみであり、またそのような企業は一部の専門家に仕事を依頼する、という関係が成り立っている。支援サービスを行う側のシーズ(提供できる価値)とされる側のニーズが適合しない場合もある。また、大手企業では自前の人事制度施策のなかで人事担当者がその役割を担うために、外部のキャリア支援者に依頼しないということもある。中小企業は仕事と直接関係があるものか、会社の業績に結びつくものでなければ、導入をためらいがちだ。ことに従業員がキャリアを意識すると辞めてしまうかもしれない、という疑心暗鬼の経営者やスタッフであれば、そもそもキャリア支援サービスを提供する機会は乏しくなる。キャリア支援に対する需給バランスを整合させるための課題は社会(雇用主)への啓蒙活動である。
<学習の場となるコミュニティの質>
仕事の機会や適切な指導がなければ、熟練するために必要な経験を得にくい。いつまでも初心者のままでは確かな専門サービスを提供できず、自信を持てない。このような状態が続くと、当初の志や情熱が失われ、もっと確かなキャリアを構築できる他の職種に軸足を移してしまうことになる。このようなキャリアの停滞を防ぐためには、マンツーマンで教育や指導を受けたり、キャリアについて相談にのってもらえるスーパーバイザーとの関係を築くことと、キャリア発達に関わる学習の場を提供してくれるコミュニティに参加することが重要である。学習の場となるコミュニティの主体は、多くの場合、資格を付与した側のキャリア支援サービス関連の各種団体が提供するものになる。他方で、各団体は独自の方針に基づき独自の運営がなされている。ビジネスとしては競合にあたるため、団体間の相互交流は活発にはなされず、メンバーの囲い込みが起こりやすくなる。より望ましいことは、キャリア支援に携わる人びと人々がネットワークを通じて、各組織や団体の垣根を越えて相互に学び合える場となるコミュニティを築くことである。このような質の高い実践コミュニティを発達させることは、この職種にとっての社会的学習基盤としての環境を整えることにつながる点で、将来の当該職種の発展にとっても重要である。
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