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2008年9月10日配信
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キャリア支援プロフェッショナルのキャリア ― キャリア発達課題
【1】
EDGE HUMAN CAPITAL Inc.代表  藤井 博 《プロフィール》
 のような職種にも、その道のプロフェッショナルと呼べるような仕事をする人々がいる。プロフェッショナルとは、その職種で求められる仕事上の高い倫理規範に基づいて行動し、求められた成果を導くために卓越した能力を発揮できる人材のことである。彼/彼女らは、顧客に対して凡庸ではない質の高いサービスを提供し、社会で起こる困難な問題解決のイニシアチブ(率先して対処する)をとっている。プロフェッショナル同士が集まるコミュニティに参加し、互いの知識を交換し、協力を得るための支援ネットワークを築いている。またプロフェッショナルのなかでも中核的な人材は、コミュニティの形成と維持にとっての要であり、後人育成の指導的な役割を果たし、その職種の新たな発展と学習を促進する存在となっている。キャリア・カウンセラー、キャリア・コンサルタントなど人々のキャリア支援に関わる領域にも、プロフェッショナル人材の輩出が要請されている。本稿では「キャリア・コンサルタント」を例にとって、キャリア支援プロフェッショナルのキャリア発達課題について考察してみたい。
 「キャリア・コンサルタント」は、比較的新しい職種形態であり、厚生労働省のガイドラインに基づき、民間団体によって認定されるキャリア支援の専門資格のひとつである。資格を得た一部は、資格制度が始まる以前からその道のプロフェッショナルとして、高度なキャリア支援サービスを提供してきた人たちである。しかし、資格取得者の多くは、未だ経験が浅く、資格を取ったものの仕事の機会に恵まれない、指導者(スーパーバイザー)に恵まれない、自信をもって成業するだけの経験と熟達が得られないことで悩んでいるひとは少なくないことが調査によってわかっている。
 ャリア・コンサルタントがプロフェッショナルとしてのキャリアを発達させるためには、「熟練」課題の克服、学習の場となる「コミュニティ」への参加(適切な教育を受け、指導者を得ることを含む)、および「仕事を通じた学習の機会」に恵まれることが必要である。
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