3回目にあたる今回は、価値創造に関係する人間力について述べてみたい。昨今「人間力」という言葉がいろいろな分野で聞かれる。学校での教育問題解決の一つの手掛かりとなっているし、企業経営においても重要なキーワードになっている。そこには、機械技術が発達し経営の効率が飛躍的に高まった一方で、創意工夫や新規の取り組み、複雑高度化した経営をリードするといった面で、人間の力に依存しなければならないという背景があるようである。
筆者は、(財)二十一世紀文化学術財団、福川研究会、「企業経営と人間力」という研究プロジェクトに参加した。このプロジェクトでは、質問紙調査とインタビュー調査がなされ、筆者はインタビュー調査に関わった。インタビュー調査は、自立的な状況の中で価値創造を促進したり、顧客の課題解決につながるソリューションをつくり提供するには、どういった人間力が求められるか、またこういった人間力を発揮させるための組織やマネジメントはどういったものか、といったことがモチーフとなり進められた。8社に対するインタビューから、価値創造時代の人間力として、「異分野連携力」や「対話力」、「会社基礎力」、「経験学習力」、マネジャーの人間力として「未来事業推進力」、「ファシリテーション力」が浮かび上がった。主たるものをとりあげ、ここでは紹介しよう。 |