第一として、革新や創造性を高めるために、それに適した組織が採用されており、人間力もそれに応じたものが求められていることがある。革新等を促進する組織として、「二重組織(並行組織)」といえるものが採用されている。それは、縦の命令系統で動く従来からの公式組織に、別の組織がプロジェクトやネットワークの形で並行的に付加された形態のものである。そこに参加するメンバーは、従来からある組織のミッションと新たな付加された組織のミッションとのダブルのミッションをもつ。そして、新たなミッションは、異なる部門の人たちとの協働で展開されることが多い。
異分野連携力や対話力は、こういった状況で求められる人間力である。新たに付加・編成されたチームでは、異部門の人の集合体であるために多様性が高い。多様であることは創造性の条件であるが、その反面、異なるがゆえに葛藤が生ずる。この葛藤を乗り越え、メンバー間で、アイデアや考えが相互に交換され、新たなものの創出につなげなければならない。そこでは、葛藤を避けるのではなく葛藤をむしろ起こしてそれを超越する解決策を見出す異分野連携力や、「想い」をメンバー間で共有し協創的にアイデアの交換をする対話力が欠かせないものとなる。また、誘導や指示命令ではなく、メンバーの気づきを通してメンバーの連携や対話を促進するチーム・リーダーのファシリテーション力も必要となる。
第二に、価値創造という場面では、メンバーは個々が自立的に行動することが前提となる。しかし、組織という枠組みの中で逸脱せずに自立的になるには、基盤となるものが必要である。それに該当するものが「会社基礎力」である。会社の価値観や仕事の特質を体得して、実践する力のことである。その会社なりの仕事をする「型」といってもいい。これまで、即戦力として活躍できる人材を求める傾向があったが、直ぐに仕事の成果を出すとなると、この会社基礎力は身につかない。入社してから数年かけて異なる部門の仕事を経験することでじっくりと熟成すべきものである。この会社基礎力があれば、一人前として自立的に行動できるし、会社の価値観を実現する方法を編み出すことができる。また、基礎力をベースとして社員の個性や状況に応じた応用力を発揮できることになる。 |