前号 キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】
次号

2008年7月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
内発的動機づけと創造性
【1】
産業能率大学 経営学部 教授  城戸 康彰 《プロフィール》
 間の動機づけを考える場合、何が動機づけの源泉になるかに着目して分類すると外発的動機づけと内発的動機づけに分類することができる。外発的動機づけとは、金銭や地位といった外在的なモノや報酬によって動機づけられることをいう。一方、内発的動機づけは、本人とっての楽しみや魅力を感ずるものに動機づけられることをいう。好きな仕事をしていると時間を忘れて没頭するというのは、内発的動機づけの例にあたる。達成感や充実感、成長の実感といった心理的報酬によって動機づけられるものといってもいい。
 発的動機づけというと、よく引用されるのはデシ,E.L.である。デシは、内発的に動機づけられた行動を、「人がそれに従事することにより、自己を有能で自己決定的であると感知することのできるような行動である」(安藤延男・石田梅男訳,『内発的動機づけ』,誠信書房,1980年,p.68)と定義している。自分の行動に関しては自分で決定しており、行動を通して自分が役立っていると実感できている時、内発的に動機づけられていることになる。自己中心的というと言い過ぎになるが、本人の主体性を前提にしたものといえよう。したがって、指示命令や規則に従って行動することが要求される場合や、自分のなした仕事の成果が明確にわからなかったりフィードバックされない場合は、内発的動機づけは喚起されないことになる。前稿で、現代の人材に求められるものとして自立性をあげたが、自立性は内発的動機づけの一つの条件となっていることがわかろう。
  1/3 続きを読む >>
▲このページのTOPに戻る