キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2008年7月10日配信
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内発的動機づけと創造性
【2】
産業能率大学 経営学部 教授 城戸 康彰
 機づけを考える際、動機づけをもたらす要素の話も重要であるが、動機づけによりもたらされる行動や成果にもまた大きな関心が寄せられる。内発的動機づけに関係するものとして、創造性がある。内発的動機づけが高いと、創造性、つまり創造的成果につながる行動が高まるのである。アマビルは、研究開発に従事する科学者や商品開発・マーケティングの担当者等160人余りにインタビューをし、専門スキル、創造性関連スキル、内発的動機づけのうち、創造性(個人または小集団で新奇で有益なアイデアを生み出すこと)に最も関係しているのは内発的動機づけであることを発見している。
 マビルは、内発的動機づけが創造性を高める理由について、迷路の例を使いながら説明している。外発的に動機づけられた人は、迷路の外に自分の欲するものがあるために、多くの人が通り磨り減った通路をたどる、といったようにできるだけ早く効率的に迷路から出ようとする。それに対して、内発的に動機づけられた人は、迷路の出口を探すことに興味を覚える。いろいろな通路を試し、可能性を探るのである。当然、時間はかかってしまう。創造性が高まるか否かは、どれだけ異なる、多様な可能性を忍耐強く探求するかにかかってくる。また、自ら試行錯誤をしながら探求し、その結果見出したアイデアに対しては信念やコダワリをもつ。信念やコダワリも創造性にとってまた必要な条件である。だから、内発的動機づけは創造性を高めるのである。金銭等の報酬を手早く得ようとする外発的動機づけにより行動する人に創造性は期待できないであろう。
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