キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2008年7月10日配信
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内発的動機づけと創造性
【3】
産業能率大学 経営学部 教授 城戸 康彰
 発的動機づけについては、他の要因との関係を考えることも重要である。一つは、外発的動機づけとの関係である。外発的動機づけは、内発的動機づけに対し抑制的に働くことがある。たとえ内発的に動機づけられていても、金銭的報酬といった外在的報酬が提示されると、内発的動機づけが減退してしまうのである。成果主義により、仕事の成果と給与との関係が強くなると、自己実現や自分の成長を志向した仕事の仕方は追いやられてしまうのは、この例である。ただし、この関係も複雑で、金銭的報酬が内発的動機づけにプラスの働きをすることもある。仕事の高い成果が評価され、それに応じた金銭的報酬が支払われれば、有能であることを実感させる効果もあるからである。
 場においては、管理者が内発的動機づけや創造性との関係に影響してくる。筆者たちは、研究開発に従事する人やIT技術者といったナレッジワーカーを対象としたリーダーシップの実証研究を行っている。創造性を高める上で、内発的動機づけを喚起することは必要条件であるが、会社としての方向性や目標、期限等をナレッジワーカーに明確に伝えることも重要である。内発的動機づけだけを重視すると、自分の好きなテーマだけを追求してしまう可能性がある。会社や部門のビジョンについてよく語り、期待以上の成果を要求する達成志向型のリーダーシップが必要であり、それにより創造性も高まってくる。詳細は、城戸康彰・内田智之,「ナレッシジワーカーとリーダーシップ」,『産業能率大学紀要』,第19巻,1号(近刊)を見られたい。

☆ 次回も城戸先生にご執筆いただく予定です ☆

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