キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2008年5月10日配信
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「若者のキャリア支援」に関わって思うこと
【3】
筑波大学 特任教授 キャリア支援室長 渡辺 三枝子
 近の学生に見受けられる傾向は、一言で言えば、学生を対象としたキャリア・サービスや就職関連の情報が生み出したものである。決して学生が変わったわけではないのである。もっとはっきりいえば、キャリア教育とかキャリア・カウンセリングの流行の結果ではないかということである。若者のキャリア支援にかかわる専門家と称する者やキャリア支援者が生み出したものではないだろうかということである。大学におけるキャリア支援の導入にかかわり、キャリア支援者の研修等に手を染めてきた私は、いま心から反省している。私のやってきたことが、学生に新たな重荷を課してしまったわけであるから。
 の大学も今ではキャリア形成・デザインのための授業を導入しだした。それ自体は誤りではない。しかし、大学生に必要なキャリア・デザインの能力や知識、そして青年期や成人前期そして職業経験のない若者の独自性について真摯に研究し、検討を重ねた上でキャリア支援のあり方を開発してきただろうか。自己分析とは何を意味し、なぜ必要なのだろうか。「10年後の自分が描けない」とか「自分を生かせる良い会社」「自己分析が就活の出発」といって悩んでいる学生に接するとき、「こういう学生を指導したキャリア支援者は、もしかして、職業経験のある中高年齢者のためのキャリア支援のノウハウやワークシートを、そのまま学生に応用したのではないだろうか」と疑う。そして私は学生に「10年後の日本がどうなっているかわかっていますか?私にはわからないが」と聞いたことがある。その瞬間学生の顔が急に明るくなり「そうですよね、そんな先にことなんかわからないですよ。そんな先のことまで考えなくても就活は始められますね」と、ほっとうなづいていた。
 近の若者が存在として変化したとは思わない。若者を取り巻く環境、情報、産業界が変化した結果、若者の行動に変化が現れたのではないだろうか?学校から社会への移行時点の困難さは以前と変わらない。個人がユニークな存在であることも変化していない。キャリア支援をするものとして、改めてキャリアの意味を実行することの大切さを感じているこのごろである。
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