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キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】
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2008年5月10日配信
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「若者のキャリア支援」に関わって思うこと
【1】
筑波大学 特任教授 キャリア支援室長 渡辺 三枝子 《プロフィール》
 学のキャリア支援室・就職課を職場とするようになって、足掛け3年となる。それまで、私は、大学生のカウンセリングを実践する機会はほとんどなかった。40年ほど前にカウンセリング心理学を学ぶため留学を思い立った理由のなかに「大学でカウンセラーとして働きたい」という願いがあった。そして職業キャリアの最後を大学の就職課で働けることは不思議なことである。私が目指したのはキャリア・カウンセリングではなく、大学でカウンセラーとして働くことであり、将来のある若者が目的と勇気をもって社会に出て、主体的に生きることを支援するカウンセリングがしたかった。しかしいま思うに、日本の大学で言えばキャリア支援室・就職課がまさに私の働き場だったのかもしれない。
 業キャリアを振り返ると、私は大学生以外の人々(中学高校生徒や職業人、失業者、退職者、中年女性、障害者等)の進路指導や職業相談に関わってきた。一見大きな遠回りをしたように思えるが、このような過去の体験は、いま、大学生のキャリア支援の実践の中に集約できているように思える。もちろん今でも決して十分に対応できているとはいえない。しかし現実社会を見る目が育ち、変化する社会環境が学生のキャリア発達に及ぼす影響を受け入れることができるようになり、学生の過去と現在、そして彼らが生きる未来を考えながら、今最も現実的と思える支援を考えられるようになれたのは、職業生活に関わる問題で、多様な人々と接することができたお陰であると思えるからである。
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