キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2008年3月10日配信
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「キャリア」が意味すること
【3】
筑波大学 特任教授 キャリア支援室長 渡辺 三枝子
 かし、時代の大きな節目にあって、個人の生き方やあり方というキャリアの本質的要素に注目し、個人のキャリア形成を支援する専門家が誕生した昨今、キャリアの解釈が自己流であったり、あいまいなままの使われ方を放置しておくことは許されないのではないだろうか。皆が唯一の定義に同意するには至らないとしても、少なくとも、他人のキャリアに関与することを生業とする者は、キャリアについての自分の理念と解釈を明らかにし、同時に他の人の解釈を尊重し、きちんと議論し合うことが必要不可欠である。 
 ャリアが意味する最も重要な概念は「individuality」つまり、「個別性の尊重」である。さらに「時間と空間と広がり」という連続性を内包する言葉でもある。したがって、キャリアに関わる人々は、個別性の尊重の意味を理解し、時空の広がりの中で「今」をとらえ、その概念を行動化できることが最低条件ではないかと思われる。
 ャリアの研究と実践を発展させるためには、まず自分のキャリア観をきちんと他者に説明し、議論しあうことができなければならないであろう。また他の人が構築した理論や支援方策を理解する場合は、自己流の解釈だけは絶対に避けなければならない。理論家に対して失礼である。もちろん部分的に拝借するのも許されるものではない。
 者のキャリア支援が求められる中、職業経験のあることをキャリアと解釈し、自分の職業経験から得た知識や教訓を若者にとうとうと語り聞かせる相談員が増えたと聞く。聞かされている若者にとってはとんだ災難である。この変化の激しい社会環境のなかで、これからキャリアを構築する若者にとって、過去の職業人の経験から「今、何が本当に役に立つのか」を伝えることが、キャリアのある先輩の常識ではないだろうか。

☆ 渡辺先生には、 4月、5月にもご執筆いただく予定です ☆

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