キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2008年6月10日配信
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私の若年者就労支援のあり方(3)
【3】
 こうべ若者サポートステーション / こうべ若者自立塾 / 若者しごと倶楽部サテライト阪神
 
キャリア・コンサルタント 瀬谷 俊宏  
<過去をリセットして>
 相談者の多くは希望して正規社員で継続雇用を望みながらも退職を余儀なくされたり、非正規社員を繰り返せざるを得ない状況にあります。
 彼らは「適職ではないから」、「人間関係でトラブルがあったから」、そしてそのような事態を招いたのは「自分が駄目だから」、「自分を評価してくれない会社が悪い ・ ・ ・」と自己否定的に、他者否定的に過去の状況を結論づけることにもっぱら気持ちを奪われてしまっています。私はなぜ彼らがそのような状況に陥るのか、彼らが気づいていない又は気づいているがそのことへの直面を避けようとする「根本的なニーズ」を踏まえてコンサルティングを行うことが必要だと思います。私は彼らが仕事を上手くこなせなかったことややり甲斐を感じなかったこと、人間関係でのトラブルなどで辞めてしまったことをリセット(「なかったこと」)して、できることならば「新たな自分で、新たに仕事に就くことができたらどんなにいいだろう」と切望しているような印象を受けるのです。

<相談者のニーズを踏まえて>
 しかし、相談者の多くは今置かれている「働けていない状況を何とかしなければいけない」ということへの焦り、不安や苛立ちに気持ちが支配されすぎてしまい、「現実的なニーズ」しか目に入らない状態にあり、彼らの中に潜む「根本的なニーズ」を見失いがちな状態にあります。私はそのような状態にある相談者を尊重しながら ― あえて彼らの「現実的なニーズ」に応えながら ― 「根本的なニーズ」に気づきが得られるように配慮します。

 相談者が数十社の企業に応募したものの全て不採用になったケースでは;
 相談者の中には「数年間のブランクを面接のときに突っ込まれて聞かれるから、そこを突っ込まれないような履歴書や職務経歴書の書き方を教えてほしい。確実に採用されるようにもっとアピール度が高くなるように添削してほしい・・・」と「現実的なニーズ」を訴えてきます。私はまず彼らのその想いを受け止めた上で「突っ込まれない履歴書や職務経歴書はあるのでしょうか」と伝え返してみます。そして私は彼らに経歴について突っ込まれても、それも今の彼らの一部分であり、それを受け容れて採用担当者に応対できる心の整理をすることが大切なのではないだろうかという想い(「根本的なニーズ」への気づき)を率直に伝えてみます。すなわち、過去の自分をリセットするのではなく、むしろ過去の自分の人生を認め、これからの自分の人生を積み上げていくことが大切ではないだろうかと彼らに伝えてみるのです。それでも尚、彼らが「現実的なニーズ」に重きを置いてコンサルティングを希望するのであれば、私が「根本的なニーズ」にこだわってコンサルティングをすることについて、あえて一歩引いてみます。
 相談者と私とのニーズのズレは共同作業に破綻をきたすことになりかねません。私は彼らの状態をかんがみて柔軟に対応していくことが大切だと思います。
 早期就労を目指したコンサルティグを行う場合には、いかに彼らの「現実的なニーズ」を満たしながら、同時に「根本的なニーズ」 ― 退職に至らず、また転職を繰り返さずに継続した就労ができるように彼らの心理的な課題に焦点化し、人間的成長に繋がるような関わりをする ― を満たしていくかというバランスを考えながらコンサルティングを進めていく工夫が必要だと思います。(次号に続く・・・)

 ☆資料出所☆
  こうべ若者サポートステーション 2007「キャリア(職業)カウンセリング行動計画表」シート

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