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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2008年3月10日配信
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キャリア・コンサルティングの現場で思うこと~その9~
【1】
社団法人 日本産業カウンセラー協会 関西支部 キャリアカウンセラー部長 橋本 俊作 《プロフィール》
 ャリア・コンサルタントのスーパービジョンを行うなかで気づいたことがある。それは、キャリア・コンサルティングは仕事(職業)をテーマにして、コンサルティングを行なわなければならないと思っている方が多いということである。なぜなのだろうか。その理由について考えてみた。

 つは、日本では、一般にキャリアが意味することが"仕事"だと考えられてきたことにあると思う。例えば、国家公務員をキャリア、ノンキャリアなどと呼称してきたし、働く女性をキャリアウーマンと呼称するなど、キャリアが"仕事"を意味する場合が多いことから、キャリア・コンサルティングは仕事のコンサルティングであると考えられる傾向が強くなったと思われる。もう一つは、日本でキャリア・コンサルティングが注目され始めたきっかけが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、企業で盛んに実施された、早期退職制度に伴う再就職支援であったことにあると思う。

 れら二つの事象が、"キャリアとは仕事を意味する。"を強化したのではないだろうか。その結果、キャリア・コンサルティングは仕事がテーマでなければならない、また、仕事についての悩み、問題がコンサルティングのなかで出てこなければならないと思い込んでしまったキャリア・コンサルタントが多くなったのではないだろうか。問題はキャリア・コンサルタントの思い込みそのものではない。その思いによって、クライアントの抱える悩み、問題の本質が見えなくなってしまうことにある。キャリア・コンサルタントの意識の中で、"仕事"が強いと、それ以外の話しが出たときにそこに注目することなく流してしまいキャリア・コンサルティングが堂々巡りになってしまうのである。

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