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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2008年4月10日配信
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私の若年者就労支援のあり方(1)
【1】
はじめに
 現在、私は就労支援機関で若年者(15歳~おおむね35歳)のキャリア・コンサルティング(以下、コンサルティング)を担当しています。
 私が担当する相談者は大学・短大等の高学歴者が半数以上で、精神疾患罹(り)患者が顕著に多い傾向があります。
 日々のコンサルティングで私が感じていることやその取り組みについて「キャリア・コンサルティングの現場からの報告」(全6回連載予定)を通じて、彼らが就労に直面して一歩踏み出すことにためらいや不安、怖さを感じながらも、自己を見つめ、人間的に成長していくあり様(よう)を読者の皆さまに感じていただくことができれば幸いです。

私のコンサルティングの姿勢
 私はコンサルティングをする時、相談者の語りに耳を澄まし、心で感じることを大切にしています。そのため、いつも純粋な気持ちで話が聞けるように、常に心身の健康管理を心がけています。それでも時には彼らの語りに反応し過ぎてしまい、うれしさ、悲しさ、怒りといったさまざま感情が沸き起こってくることがあります。そのような時、私は自らが感じたありのままの気持ちをまずは真摯に受け止めます。そして相談者と私との間で「今、起こっていること」を素直に伝え返し、共有するようにしています。なぜならば、今まで彼らは、そのような感情的交流が乏しい又は失敗体験があるため、自らの本音を人に伝えることを極端に恐れる傾向があるからです。(例えば、「先生(私)に・・・こんなこと言っていいでしょうか。怒らないでくださいね。間違った考えだと思うんですけど」とためらうようなこと)
 相談者が安心して本音を話せる環境を整えるためには、まず彼らの許容できる範囲で私自身を自己開示することが必要なのです。それが相互の信頼関係を築く第一歩となります。コンサルティングは、相談者と私との双方向性を通して織り成す人間的成長プロセスだと実感します。

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