| 典型的な例を、生活保護受給者の自立支援に見ることができる。自立が意味することは就労であるため、ただひたすらどんな仕事が良いかについてクライアントと話し合うことになり、キャリア・コンサルティングが堂々巡りになってしまう例が多いように思う。私自身、この罠とも言える状態に陥ってしまったことがある。以前、このコラムで述べたように、自己効力感が低いクライアントはいくら客観的な視点で"できる"と判断されても、その本人が"できる"と思わなければ動けないのである。それに気づかず、この仕事はどうか、あの仕事はどうか、とクライアントに勧めても、暖簾に腕押し状態になってしまう。仕事以外のこと、つまり生活、ひいてはどのように生きていきたいのかがテーマにならなければ、この堂々巡りから抜け出すことはできないと思う。意外に思われるかもしれないが、生活保護受給者の方々には、実現したい夢を持つ方が少なくないのである。同時に、この夢を実現することなど絶対にできないと、彼ら彼女らが思い込んでいるということにも気づいた。つまり、文字通り"夢"なのだ。この思い込みを払拭すること、つまり認知を変え、「もしかしたら実現するかもしれない。」と思うことができるようになって初めて自立への道を歩み始めることができるのだと思う。 |